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「いい、金糸雀。私も辞めるなんて翠星石達には内緒よ。 これは3人の秘密なのだわ」 橋の上でしばらく流れていくレポートを見ていた水銀燈と金糸雀に 真紅が合流したのは美術室を出てから20分後の事であった。 「どうして真紅も辞めちゃうのかしらッ?」 「そうよぉ、真紅まで辞めることないわァ」 「もうウンザリなのだわ、それより金糸雀は学校に戻りなさい。今頃は 翠星石や雛苺が騒いでるはずだから・・・それから私は停学ってこと にしておいて頂戴」 「でも、でも・・・」 「早く戻りなさい金糸雀」 何度も振り返る金糸雀を見ながら水銀燈が小声で話す。 「本当に真紅はおバカさんねぇ~。あきれちゃうわァ」 「貴女に言われたくないのだわ。それよりこれからの事を考えないと」 「そうねェ、真紅はともかく私は中退決定だからねェ~」 しばらく2人は行くあてもなくブラブラと歩きながら話す。 「はぁ~、最悪ぅ。バイトでもぉ探そうかなァ?真紅はどうするのォ? 今なら梅岡に謝れば許してもらえるんじゃァない?」 「あんなのに誤るくらいなら野垂れ死にしたほうがマシよ」 「ウフフフ、野垂れ死にィ。イイわぁ、それ。私も付き合うわぁ」 2人がこれからの不安を吹き飛ばすかのように笑っていると信号待ち をしている大型バスが目に入ってくる。 水銀燈と真紅は互いに顔を見合わせ小さくうなずく。 「あんなクソに誤るくらいならァ~、野垂れ死にねぇ」 「そうよ、でも野垂れ死にする前に勝負するのもイイのだわ」 「それ最高よォ~。私ィ、勝負事って、だァ~いスキよぉ」 信号が変わるとバスはゆっくりと発車し出す。真紅と水銀燈はバスが 見えなくなるまで目で追いかけた。そのバスには「東京行き急行バス」 と書かれていた。 そして2人は家出の計画を話し出した。ラプラスがいた街でのライブの後、 真紅と水銀燈はこの街を出る決心をつけた。 17歳の少女達の将来、未来に対する自分なりの選択。その中にはかすかな 夢や希望、目標という想いが5月の風に乗り大きく羽ばく。 その風は先ほど走りさったバスを追いかけ、そして追い越していった。 真紅、水銀燈の決意を翠星石、蒼星石、雛苺、金糸雀、薔薇水晶の5人は まだ知らない。 * 金糸雀が学校に戻ると真紅の言うとうり翠星石が他の生徒相手にケンカを始めていた。 「真紅と水銀燈の悪口を言うならこの翠星石が許さないのですぅ!」 イスを持ち上げようとする翠星石を止める蒼星石と金糸雀。 「止めるんだ翠星石!こんなことをしたらキミまで」 「暴力はイケナイのかしら~!」 「でも、でも、アイツ等が真紅と水銀燈の・・・」 「言わせておけばイイさ、真紅も水銀燈もきっと大丈夫だから」 蒼星石の言葉に金糸雀は真紅と水銀燈の事を言いそうになるのをグッと飲み込む。 (ここで真紅と水銀燈のことを言ったら大変なことになるかしら) 「水銀燈もきっと大丈夫かしらッ。それに真紅はただの停学かしら~」 「そうだよ、金糸雀の言うとうりだよ。2人ともすぐに戻ってくるよ」 蒼星石と金糸雀の言葉に翠星石は落ち着きを取り戻す。 「そうですよねッ、薔薇乙女はずっと一緒なのですぅ。そして全員で東京 に乗り込むんですぅ~」 「うん。水銀燈も泊まりに来た時に約束したし、大丈夫だよ。僕達はそろって 乗り込むんだから。それに今は来週のライブのほうが大切だよ」 「そうですぅ、忘れてたですぅ。なんてったって真紅と水銀燈復帰ライブ なのですからッ。ねっ、蒼星石、カナ、リ。あれ、金糸雀はどこですぅ?」 「あれ、今まで僕のとなりに居たのに、どこ行ったのかな?」 * 「おい金糸雀。どこ行くんだ、もう授業は始まるぞ」 そんな教師の声など聞こえない金糸雀はそのまま靴に履き替えて出て行く。 「なぁに、金糸雀。うん、うん・・・えぇ、真紅と一緒よぉ~」 「今の電話だれなの?」 「金糸雀よぉ、話があるからァ~、アンセムに来いだってさァ~」 フゥ~。水銀燈の口から煙がゆっくりとアンセムの天井に向かって行く。 「それはァ、私もイヤよ。でも私は退学なのよ、もう戻れないのよ」 「私もあんな所に戻る気はないのだわ。それに私も水銀燈と同じ退学でしょうね」 「じゃ、この先2人はどうするのかしら?翠星石達はみんなで東京に行く って希望を持ってるかしらッ!」 少し興奮気味にしゃべる金糸雀に真紅と水銀燈は先ほど決めた2人の東京に行く 想いを話すと金糸雀はテーブルに手を着き体をグイッと前に突き出し声を荒げる。 「さんざん期待や希望を持たしておいて、何の相談もなしに結局2人で学校を辞め てその場のノリで東京行きを勝手に決めたのかしらッ。そんなのズルイかしらッ!!」 「だってェ、しょうがないじゃない。私は退学よ、退学。もう私の机は無いのよぉ! 私だってみんなと一緒に行きたいわよォ!」 「私もあんな事をしてしまったからほぼ退学は決定なのだわ。ねぇ金糸雀、もう あの約束をした時とは状況が違うの、解って頂戴」 「そんな、真紅まで何を言うのかしらッ。もう、もう真紅や水銀燈なんか 知らないかしらァァ!!」 金糸雀はそれだけ言うとテーブルを叩き店を出て行く。 店を出ると涙で周りの景色が薄っすらとボヤける中を走る金糸雀。 (真紅と水銀燈なんてバカかしら、勝手に行けばいいかしらッ) (なぜ真紅と水銀燈が退学かしら、そんなのはイヤかしら~) 勝手にすればいい。離れたくない。金糸雀の胸を駆け巡る2つの矛盾した思いに 金糸雀は薔薇女子高に転校してきた当初を思い出していた。 初めて会話をしたのは水銀燈のギターを見た時だった。 まだ馴染めていないクラスの中で水銀燈だけが金糸雀と一緒に昼食を取ってくれた。 水銀燈がいない時に他の生徒から邪魔者あつかいされそうになった時、助けて くれたのが真紅と翠星石だった。音楽が、ロックが好きというだけで蒼星石、 雛苺も昔からの親友のように金糸雀を迎え入れてくれた。 その頃はまだ真紅と水銀燈の微妙な過去など知らなかったが、水銀燈がまた 真紅達と一緒にバンドを始めるのが決まった時は自分のことのように嬉しかった。 (離れるなんてイヤかしら、このままバラバラになるなんてイヤかしら) 「真紅も水銀燈も大バカかしらァァ~!!」 あふれる涙を拭うことも忘れて大声を出した後、金糸雀は泣き崩れてしまった。 * 真紅と水銀燈が久しぶりに薔薇乙女に帰ってくる。真紅、水銀燈とは 今回の音合わせが初めての薔薇水晶は内心緊張していた。 (うわ、真紅と水銀燈だぁ、愛想よくしたほうがイイのかな?) 「私・・・薔薇水晶・・・・よろしくね♡」 「同じクラスだけどバンドとしては始めてね。これからの薔薇乙女を よろしく頼むのだわ」 「これからの?」 蒼星石は少し怪訝な表情で真紅の言った言葉を口に出す。いつもの真紅なら 「これからの」とはいわない「私達の薔薇乙女」と言うはずである。 「なぁに難しい顔してるの蒼星石ィ?それより翠星石はどこに行ったのぉ?」 「あぁ、まだ金糸雀から連絡がないから電話をしに行ったよ。ホラ、ここは 携帯の電波が届かないから」 今にも雨が降り出しそうな空を見上げながら翠星石は携帯を耳に当てる。 「おバカ金糸雀、何グズグズしてるですかッ、早く来やがれですぅ」 「ちょっとカゼで熱っぽいかしら、今日は止めとくかしら・・・」 「何ぃ軟弱なこと言ってやがるですか、真紅も水銀燈も居るですのにィ」 「真紅・・水銀燈・・その2人なにか言ってないかしら?」 「別に普段どうりですぅ、停学が1週間伸びたと言ってたですよ。 何ですか金糸雀?」 「ううん、なんでもないかしら~。とにかく今日は参加できないかしら」 「金糸雀はどうしたの~、おなかでも痛いの?」 翠星石がスタジオに戻るとマイクを持った雛苺が心配そうに聞く。 「カゼを引きやがったみたいですぅ。ライブまで後5日ですのにぃ~」 「そう・・・しかたないわね。今日は私達だけでヤルのだわ」 薔薇水晶のキーボードから幻想的なメロディーが流れ出し、水銀燈のギター が追従するように入ると雛苺の高音が効いたコーラスが続く。 そこに真紅の美しくもハリのある声が切ないバラードを歌い出す。 (くぅ~、凄ぇぇのですぅ。翠星石の考えは間違ってたですぅ。やはり 真紅と水銀燈が入ると別物ですぅ、金糸雀もこれを聴いたらビビるですよッ) 翠星石の思いとは別に金糸雀はライブ前日になっても学校にすら姿を 見せなかった。 ライブを明日に控え最終的な音合わせが終わると翠星石はスタジオを 飛び出し携帯の受話器越しにツバを飛ばし怒鳴る。 「おバカ金糸雀、なにしてやがるですかッ?ライブは明日ですよッ」 「うるさいかしらッ、カナはもう薔薇乙女を止めたかしらァ!」 「な、なにを言い出しやがるですかッ、ちょっと真紅と代わるから 待っていやがれですぅ!」 「真紅と水銀燈なんか知らないかしらァ!」 そう言うと金糸雀は一方的に電話を切ってしまった。 翠星石がスタジオに戻り電話でのやり取りを説明すると真紅と水銀燈は 静かに話し出す。 「そう・・・金糸雀はそんな事ぉ、言ってるのぉ?」 「これはライブが終わるまで秘密にしておきたかった話なのだわ・・・ 私と水銀燈はライブが終わったらこの街を出るのだわ」 「なッ!真紅まで何の冗談ですぅ・・そんなのウソですよね、ねっ水銀燈?」 「真紅の言うとうりよォ、私と真紅はもう学校には戻れないわぁ。それに こんなイナカ街では何もできないわァ」 「そんな・・・じゃぁ、これからどうするですかッ?」 真紅と水銀燈はライブが終わると次の日の朝、この街を出て東京に行く 考えを告げる。そのために真紅は2日前に退学届けを出していた。 それを聞いた雛苺は涙ぐみ、薔薇水晶と翠星石は無言のままうつむいている。 そんな中で蒼星石はゆっくり話し出す。 (5)へ戻る/長編SS保管庫へ/(7)へ続く
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水銀燈「…よし…。」 ある日の休日…自室で一人、覚悟を決めたようにそうつぶやくと、彼女は手に持っていた携帯電話の電源ボタンを押し続けた。 それはいつも使っているものとは違う、もう一つの電話…。 数秒後、多少ほこりのかぶったその電話は久しぶりに息を吹き返し、その本来の機能を発揮し始めた。 画面を睨み、水銀燈は中のデータを一通り確認する。 約1ヶ月ほど放置していたため、多少電池の残量が心もとないが、それ以外は問題なさそうだ。 そして適当な番号を見つけると、彼女はおもむろに電話をかけ始めた。 水銀燈「あ…久しぶり…。私だけど…覚えてる…?…そう!私よ!私!!ごめんねぇ…実は、ちょっと車で事故起こしちゃって、今まで入院してて…」 …もちろん、そんな事実など一切無い。 この日、彼女は久しぶりに『仕事』を開始した。 時折、同僚の顔や知り合いの顔が浮かびもしたが、この際そんな情に流されるわけにはいかない。 なぜなら、『ある理由』のおかげで彼女の預貯金はほとんど底をついていたのだから…。 「お金が無いのなら、真面目に仕事をすればいい」と人は言うかもしれない。 しかし、人間1度贅沢を経験してしまうと、元の慎ましい生活に戻るのには大きな覚悟を要するもの…。それに… 水銀燈「…もう、あんな暮らしをするのはうんざ…ううん、こっちの話…。ごめんなさぁい…久しぶりに声聞けて、テンパっちゃってるみたい…」 ふと頭によぎる、高校までの極貧生活…。 もう二度と、あんな思いは… そんな呪縛から、彼女は逃れることは出来なかった。 水銀燈「…それで…会いたいのは山々なんだけど、入院費とか意外にかかっちゃってぇ…。車も壊れちゃったし…もう私…どうしたら…」 多少のブランクはあったものの、その言葉はまるで魔法のように相手の心を惹きつけた。 「馬鹿な男…」と思わずほくそ笑みながら、彼女は本題を切り出す準備をし始める。 しかしその時、誰かの視線を感じ、彼女は慌ててその方向に振り返った。 そこには、その様子をにこにこと楽しそうに眺める、1人の少女の姿があった。 水銀燈「あ…ご、ごめん…今病院だから…!」 そう嘘をついて話を切り上げると、水銀燈はその少女のほうに向き直り、こう質問した。 水銀燈「…どこから聞いてたの?」 ?「んー…『でも、生死の境をさまよってた時、真っ先にあなたの顔が浮かんで…』って辺り?」 あまりの事に困惑気味の水銀燈に対し、少女は笑顔を崩すことなくそう答えた。 彼女の名前は柿崎めぐ…。以前、水銀燈とそのほかの善意の人たちの力によって心臓病を克服した少女である。 あれ以来2人の仲は急速に深まり、ついには家の合鍵を渡すまでになっていた。 むろん、それはこのめぐという少女を信頼しての事なのだが、最近ではその行為を後悔する日が多くなってきた。 もっとも、それはめぐ自身の問題ではなく、むしろ自分自身が原因なのだが… 先ほどの彼女の答えに対し、水銀燈は頭を抱えながらこう呟いた。 水銀燈「…つまり、最初の方からって事ね…。」 その言葉に、めぐは「そう。」と笑いながら答えた。 水銀燈「…で、何で勝手に入ってくるの…。チャイムくらい、鳴らしなさいよね…。」 めぐ「えー?『勝手に入ってきて構わない』って言ったの…先生じゃない♪」 その答えに、「本当に馬鹿な約束をしてしまったものだ…」と、水銀燈は思わずため息をつく。 確かに、めぐと居られる時間は楽しい…。 でも、『朱に交われば赤くなる』とはよく言ったもので、私といるせいでめぐがどんどん良くない方向へ行ってしまっている気がする…。 今日だってそう…。こんな事…万が一めぐが真似するようなことがあれば、それこそ…。 めぐ「どうしたの?何か今日…先生らしくないわ…。何かあったの?」 水銀燈「…別に。大したことじゃないわ…。」 めぐ「ふぅん…。でも、何か困ってるのなら言って。この命は先生に貰ったもの…。だから、先生のためなら何でもするわ。たとえ、それがどんなに悪いことでも、あなたのためなら私は…。」 その言葉に、水銀燈は愕然とする。 そして、彼女は少し考えた後、静かにこう言った。 水銀燈「…なら、これが最後の命令よ…。これ以上、私に近付かないで…。」 と。 めぐ「…え?」 思わぬ言葉に、めぐはそれ以上言葉を発することが出来なかった。 初めは冗談だと思った…。しかし、水銀燈の目を見る限り、どうもそうでは無いらしい…。 めぐ「ど…どうして…?チャイムも押さずに家に入ったのがいけなかったの?それとも…」 水銀燈「…うるさいわね。もううんざりなのよ…!あなたの面倒を見るのは!!私は別にあなたなんか頼りにしてない…!!むしろ、邪魔なのよ!!分かった!?」 その言葉に、めぐはしばし呆然とした。やがて自我を取り戻すと、彼女はあふれる涙を懸命にこらえながら部屋を後にした。 「…これでいい。これでいいんだ…。」と水銀燈は自分に言い聞かせる。 めぐ…これ以上、貴女のそばには居られない…。 めぐに会った日から今日まで…それは本当に楽しかった…。でも結局、私は周りの人を傷付けなければ生きていくことは出来ないようだ…。 そう、一度汚れてしまったものは、どんなにそれを直そうとしても元の白さには戻らない…。だからこそ手遅れになる前に…。 バタン、と音を立ててしまる玄関のドア。そのドアを見つめながら、彼女は静かにこう呟いた。 水銀燈「…ごめんね…めぐ…。」 決して大きな声ではないはずの声…。しかしその声は、彼女以外誰もいなくなった部屋に大きく響いていた。 真紅「…今日も柿崎さんは休みなのね…。水銀燈、何か知らない?」 それから3日後の朝…。あの日以来、めぐはずっと学校を欠席し続けていた。 原因は不明…。ならば、「彼女と親友であるはずの水銀燈なら何か知ってるのでは…?」と真紅は彼女に対しそう質問したのが、彼女は持っていた雑誌に目線を落としたまま、ぶっきらぼうにこう答えた。 水銀燈「…知らない。」 真紅「…嘘ね。本当に知らないのなら、慌てて彼女の家に向かうはず…。そうでしょう?」 その言葉に、思わず水銀燈は舌打ちをする。 全く…お馬鹿のくせに、変なところで勘が働くんだから… そんな彼女の考えをよそに、真紅は新たな疑問を彼女に投げかけた。 真紅「…一体何があったの?柿崎さんは、あなたのことを物凄く慕っていたのに…」 水銀燈「うるさいわね…。そんなこと、もうどうでもいいわ…。」 その言葉にぴくりと眉を動かすと、真紅はさっきより強い口調でこう言った。 真紅「そんな言い方ないでしょう!?あなたは、文字通りあの子の命を救った…。だからこそ、あなたを一番慕っているの…!でも、それが目の前で崩れ去った時、その行為が本人にとってどんなに辛い事か…それはあなたが一番よく分かって…」 そこまで言った時、彼女は思わず口ごもった。 なぜなら、水銀燈本人も同じような目にあっていたことを十分に知っているから…。 そして、それは彼女にとって大きな傷跡を残してしまったことを…。 しまったと思いつつ水銀燈の方を見ると、彼女はハッとした様子で真紅の顔を見つめていた。 そして数十秒後、彼女は真紅に対しこう言った。 水銀燈「…ちょっと、休憩がてら散歩してくるわね…。」 と。 …それから2時間後、彼女はめぐを連れ学校に戻ってきた。 水銀燈「…なんで学校なのよ?今なら、どこでも自由に遊びに行けたのに…」 とぼやきながら。 それをなだめながら、めぐは彼女の手を引っぱり、学校の中へと先導する。そんな2人の手は、いつまでも硬く握られていた。 完
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『明日、不死屋では高級苺をふんだんに使った苺大福を、12時より20個限定で発売します!!1日だけのスペシャル大福ですので、お早めに…』 朝、雛苺が学校の仕度をしていると、TVでこのようなCMが流れていた。 急いでメモを取るものの、雛苺の顔は何故かさえない。 雛苺「うー…でも、12時じゃまだ授業が終わってないの…。しかも20個しかないなんて、あんまりなの…」 そうつぶやくと、雛苺はため息をつきながら、学校へと向かった。 雛苺「うゆー…」 学校についてからも、雛苺の頭の中は例の苺大福のことでいっぱいだった。 学校の授業がある…でも食べたい…そんなジレンマが雛苺を襲う。 その時、雛苺の頭にある名案が浮かんだ。 そうだ、学校を休めば全ては丸く解決するではないか!しかも、この学校にはサボりのプロもいる…!! 思いついたら即行動と、雛苺は水銀燈に声をかけた。 雛苺「ねぇねぇ、水銀燈っていつもどうやって、学校をお休みしてるの?」 水銀燈「んー?簡単よぉ…。電話で『お腹痛い』って苦しそうな声で言えば、意外に相手には分からないものよぉ♪」 なるほど、と感心する雛苺。そうか、こんな簡単な事でよかったんだと、思わず足取りも軽くなる。 …そして次の日、雛苺は計画を実行した。 雛苺「イチゴ、イチゴ、すぺしゃるイッチゴ♪」 限定苺大福を手にし、上機嫌で苺大福にかぶりつく雛苺。 その時、人ごみの中である人物と目が合ってしまった。その人物は意外そうな顔をしながら雛苺に近づき、そして話しかけてきた。 水銀燈「あらぁ…?あなた、こんなところで何してるのぉ?」 雛苺「す…水銀燈は、何でこんなところにいるの!?」 水銀燈「何って…今からお昼ごはん食べに行くんだけど…。ああ…だから昨日、私に『どうやってサボるか』なんて聞いたのねぇ…。いけない子ぉ♪」 そう言うと、水銀燈はクスクスと低く笑い、話を続けた。 水銀燈「さぁて、どうしようかしらぁ?あの真紅が聞いたら、さぞかし怒り狂うでしょうねぇ…♪」 雛苺「お、お願い…言わないで…。」 青ざめた顔で雛苺は嘆願した。 水銀燈「でもぉ…。このままじゃ金糸雀が可哀想だものぉ…。あの子、あなたがお腹痛いって言うから、ずっと心配してたのよぉ?」 雛苺「カナが?」 水銀燈「そうよぉ…。あなたは学校をサボり、なおかつ友達を心配させるという2重の罪を犯したの。その罪は大きいわよぉ…?」 雛苺「…そうね。その通りなの…。怒られても仕方ないよね…。」 反省した様子を見せる雛苺の頭を、水銀燈は優しく撫でこう言った。 水銀燈「よしよし、冗談よぉ。まあ今日は無理だとしても、明日はちゃんと学校に行かなきゃダメよぉ?…それと、あんまり私の技使わないでねぇ…。私だって、明日は江ノ島に行こうと…」 雛苺「うよ?」 水銀燈「な、なんでもないわぁ。とにかく、もうこんな事しちゃだめよ?」 そう言うと、水銀燈は別の店へと行ってしまった。 次の日、雛苺は元気に学校へ出勤した。 金糸雀は本当に雛苺のことを心配していたようで、何度も「体はもう大丈夫かしらー?」と聞いてきた。 その姿を見て、思わず「ごめんなさい」と謝る雛苺。 金糸雀だけじゃない、みんなも心配してくれていた。なのに自分は…。 そんな気持ちからの「ごめんなさい」だった。 そんな雛苺を見て、ともかく無事でよかったと安堵する一同。その時、真紅があることに気がつく。 真紅「…そういえば、水銀燈はどうしたのかしら?」 薔薇水晶「何か、お腹が痛いとかで…。どうしたんだろう…。」 雛苺「んと…水銀燈なら、大丈夫だと思うの…。今日、江ノ島に行くって言ってたから…」 その言葉を聞き、薔薇水晶は職員室を大急ぎで飛び出していった。 1時間後、水銀燈は薔薇水晶と雪華綺晶に両脇をつかまれ、まるでどこかで捕まった宇宙人のような格好で、職員室へ連れてこられた。 そして、雛苺を見るやいなや、水銀燈はその怒りを爆発させる。 水銀燈「雛苺!!あなた、何で恩をアダで返すような真似するの!?せっかく、気持ちよく泳ごうと思ってたのに!!」 雛苺「だ、だって薔薇水晶…ものすごく心配してたし…」 水銀燈「私の場合はいいの!!」 薔薇水晶「よくない!!私がどれだけ心配したと思って…」 …こうして、学園には1日ぶりに教師全員がそろった。 「うにゅーも大切だけど、それよりもずーっとみんなで、仲良く楽しく過ごしていきたいな…」 騒がしい職員室の中で、雛苺はそんなことを考えていた。 そして、雛苺は二度とずる休みをすることはなかったという…。 完
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準備 ◆EboujAWlRA 【準備】 「よっ……と!」 女性陣にはお引取りを願い、男五人が広い部屋の中で傷ついた身体の手当てをしていた。 Lの持っていた包帯と総合病院から探しだしたテーピングでそれぞれの肉体を固定していく。 応急処置も呼べないものだったが、それでも何もしないよりはマシだった。 外では水銀燈が翠星石が見張りをしている。 ローゼンメイデンの治療は人間のそれと異なっているし、代謝もまた同じではない。 C.C.はというと、無為に時間を過ごすぐらいならば、と身体を清めている。 その時に、C.C.は上田から白梅香を渡された。 男である上田が持つよりも、C.C.が持っていたという理屈だった。 上田はこんな状況でもどこか現実の常識に即した動きをしたがる男だった。 さて、男しか居ないこの部屋は汗の臭いが充満し、非常にむさ苦しい。 しかも、むさ苦しいだけでなくヴァンなどは全身に傷を追っているため、僅かに異臭を放っている。 さらに刺青と思わしき文様とそのどす黒い血が滲んでおり、思わず目を背けてしまうような惨状だ。 現に上田などは必死で視界にヴァンの身体を入れないようにしている。 Lの所持していた明治の傷薬を塗りたくり、ヴァンは思わず顔をしかめる。 「しっかし、すげえ身体だな」 真司は感嘆の言葉を漏らす。 惑星エンドレス・イリュージョンとロストグラウンド。 混沌の荒野で生きてきたヴァンとクーガーの肉体は隆々としたものだ。 それこそトップアスリートとなんら遜色のない肉体である。 この二人に比べると、現代日本で呑気に暮らしていた真司の肉体は若干頼りない。 同じく現代日本で過ごしていたLは意外なことに、無駄なく引き締まった肉体をしていた。 もちろん、ヴァンとクーガーに筋肉の総量自体は劣っているがそれでも中々のものだ。 最も意外だったのは上田だ。 そのまま格闘技界に参戦できるのではないかという恵まれた肉体をしていた。 それこそヴァンやクーガーと比類するほどだ。 戦闘となるとアルター使いのクーガーや改造人間であるヴァンに劣る。 だが、それでも期待させてしまう何かがあった。 もっとも、この男が刃の前に立つ時は自らの精神がよっぽど極限まで追い込まれた時だけだが。 「にっげぇ……」 五人の怪我の多くは打撲や打ち身の類だ。 そこで、五人全員が劉鳳の支給品である石田散薬をお湯と共に飲んでいた。 石田散薬とは新撰組副長の土方歳三の実家に伝わる妙薬である。 その石田散薬の適量は上田が知っていた。 物理学者でもあるが亀山歌など文学にも通じている上田は新撰組の逸話も聞き及んでいるのだ。 同時に上田は、ここは逸話通り熱燗で飲もうと提案しようとも考えたが、さすがにやめた。 アルコールが入ることはあまり良くないだろう、と自制したのだ。 「ふぅ、終わったか」 一番最初に応急処置を終えたのは、他の三人と比べて切り傷の少ないLと上田である。 幸いにも、二人の手当は身体の各部を固定し石田散薬を飲むだけで終わる程度のものだった。 「少し、足りませんかね……取りに行ってきます」 Lは肋をさすりながら立ち上がり、部屋を出ていく。 上田は、さてどうするか、と次郎人形に話しかける。 端から見ると滑稽だが、この男の陽気な性格を表している姿だった。 「なあ、山田奈緒子ってのはアンタの知り合いだろ?」 「むっ、それがどうかしたのか?」 クーガーは包帯を巻きながら、上田へと話しかける。 クーガーは先ほどの知り合い順名簿に目を通しているため、山田が上田の知り合いであることを察していた。 勉学は優秀だが、色々なところが鈍い上田はクーガーの言葉に疑問で応える。 クーガーは少しだけ迷ったが、言ったほうが上田のためだろうと判断した。 「……つかささんたちがな、その人の死体を弔ったらしい」 「……山田、を?」 その言葉に上田は呆然としたようにつぶやく。 いつも考えの隅っこに、ひっそりとその名前があった。 貧乳、ペチャパイ、未熟なマジック、奇妙な笑い声、ジャージ教師、ガ○ラの怪獣にミイラされる。 その山田が様々なワードと共に上田の頭を回り始める。 「案内を――――」 「いや」 上田は強い言葉でクーガーの言葉を断ち切る。 その目はクーガーからは見えなかった。 だが、その言葉の調子で上田がどんな目をしているかはクーガーにもわかった。 「一人で、行かせて欲しい」 上田らしくない言葉だった。 出会ったばかりのクーガーでも上田が臆病者であることは察していた。 だからこそ、それ以上は何も言わなかった。 病院の内部だし、霊安室もここからそう離れた場所ではない。 「俺もお終いだ」 「俺も、っと……」 その上田の後ろ姿を見送りながら真司とクーガーが立ち上がる。 そして、試すように身体を動かしていく。 少し動きにくい部分がないわけではないが、それでも随分と楽になった。 一方で、とにかくヴァンの治療が長引いていた。 Lの持っていた高荷恵が製造した傷薬を身体に塗りこんでいくのだが、とにかく切り傷が多い。 傷口に塗りこむわけだから、当然裸体にならなければいけない。 全身の傷口を治療するだけでも時間がかかるのに、その上で包帯とテーピングで固定する必要があった。 傷が多いヴァンの治療に時間が掛かるのは当然と言えた。 「ええっと、ヴァン……さん? それで大丈夫なのか?」 「さあな……まあ、一日ぐらいなら充分持つだろ」 帰ってから治せばいい。 真司に言葉に対して、ヴァンは簡単に言った。 この状況でヴァンだけが一点の曇りもなく脱出を信じているのだ。 シャドームーンの脅威を知りつつ立ち向かおうとするヴァン。 この男は果たして勇者なのか、それとも愚者なのか。 ただ、それがヴァンという男であることは確かだった。 「難しいことはわからないが、俺はとにかくやることがあるんだよ。 邪魔をするなら倒して、邪魔しないのならほっときゃいい」 この男の生き方は単純明快なものだった。 だからこそ、その生き方を奪われた時の怒りは常人よりも遥かに大きい。 「なあ、クーガー。その、アルターだっけ? あの脚のブーツを作ってた奴」 「ん、それがどうした?」 真司はヴァンを横目で見ながら、クーガーへと話しかける。 ずっと引っかかっていたことがあったからだ。 「いや、アルターとライダーデッキのシステムってよく似てるなぁって思ってさ」 「全部が全部、俺みたいな装着型じゃないぞ?」 「いや、その、別の世界から呼び出すんだろう?」 「そういうわけでもないが……」 真司はクーガーが話していた、【向こう側の世界】というワードを思い出す。 アルター能力は【向こう側の世界】から理屈をこっちの世界で使うことだ。 ミラーワールドに住むミラーモンスターを利用するライダーデッキとよく似ている、真司はそう思ったのだ。 「まあ、そうだなぁ……アルター能力ってのはな、自分のエゴを押し通す力なんだよ。 こっちじゃできないことを、向こうの理屈を使って押し通しちまうんだ」 「エゴ……」 「そうだ、カズマの自由も劉鳳の正義も俺の速さも、言ってみれば全部がエゴなのさ」 正義も己の速さもエゴだと。 そして、それで別に構わないとクーガーは笑いながらそう言った。 「ライダーデッキをつくった、神崎士郎って言ったか? そいつも、自分のエゴをライダーデッキの形にしたのかもな」 「エゴ、か……そうなのかもしれないな」 そう言いながら真司は机の上に広がった支給品を手に取る。 願いを叶えるために戦い合う、これがエゴでないわけがない。 「これ見て思ったんだよ」 真司が取り出したものは、ボロボロの箱に入った何枚もの紙だった。 そして、その箱の蓋を開き中から紙を取り出す。 稚拙な絵が描かれた紙だった。 「ドラグレッダー、ダークウィング、マグナギガ……ほとんどがミラーモンスターの絵だよ。 これは優衣ちゃんの描いた絵だって、一緒についてた紙に書いてある」 クレヨン描きの稚拙な絵は、確かにミラーモンスターが描かれていた。 これは園崎魅音に支給された、神崎優衣が幼少の頃に兄である神崎士郎とともに描いた絵だ。 クーガーは黙ってその絵に目を通す。 「ミラーワールドって、ひょっとすると優衣ちゃんの心のなかなのかもしれない。 それならnのフィールドっていうのと同じで鏡の中にあるのも説明がつくし」 「何が言いたいんだよ」 やはりクーガーは穏やかに笑いながら続きを促す。 真司は少し押し黙った後、覚悟を決めたように口を開いた。 「これ、神崎と優衣ちゃん以外に人間の絵が居ないんだ。 だから、優衣ちゃんの心には、人が居ないんじゃないかって……」 事実、神崎士郎と神崎優衣と思える二人組の絵しか人間は描かれていなかった。 その絵にも、ミラーモンスターが描かれている。 真司はどこか悲しい気持ちになった。 その絵が、まるで外敵から、人間から身を守るように見えたからだ。 「俺は優衣ちゃんの友達だから、優衣ちゃんも助けてあげたい。 それこそ、自由と平和を守る、仮面ライダーに」 そこまで言って、顔を俯いた。 ふと、光太郎と自分を比較してしまったのだ。 劉鳳を殺してしまった自分と、死んでもみなみの心を守った光太郎を。 「俺は、仮面ライダーになれるかな……ライダーじゃない、仮面ライダーに。 誰かのために戦えるように」 「さぁな……ま、変わろうと思わなきゃ変われないさ。 特に、強い奴に変わろうと思ったらな」 その想いが読み取ったように、クーガーは柔らかい言葉をかける。 「ただ、お前は南光太郎でも劉鳳でもない。お前はあくまで城戸真司だ」 お前はお前だと、そう言い切る。 「だから、お前は城戸真司のまま仮面ライダーを名乗ればいい」 柔らかい笑みだった。 年齢こそ真司のほうが上だが、この場に置いてはクーガーが兄貴分と呼べるような立場関係になっていた。 「餞別だ……まあ、お前が使うしかねえんだけどな」 クーガーは机から烈火のサバイブカードを引きぬいた。 仮面ライダー龍騎をサバイブ体へと変える、生存の意味を持つ究極のカード。 そのカードがクーガーから真司に手渡された。 「炎は文化の礎ってね。 人を傷つけるものだが、人を助けてきたものでもある」 炎は知恵に例えられるほど、人に無数の希望と絶望を与えてきたものだった。 そして、ギリシャ神話のプロメテウスを代表するように、多くの神話には火を与える存在が居る。 文化英雄と呼ばれる類の存在である。 ただ、その手の存在は得てして反社会的な存在とされることがある。 聖書における赤き蛇のように、存在そのものが悪と称されることも多いのだ。 この殺し合いの場に置ける、ちょうど、志々雄真実のように。 三村信史が志々雄真実に力という美酒を与えられたように。 シャナが志々雄真実に命というたった一つの権利を奪われたように。 希望と絶望を同時に与えてきたのだ。 サバイブのカードを強く握り、真司はクーガーへ尋ねる。 「クーガーも、変わろうと思ったことがあるのか? 誰かになりたいって、思ったことがあるのか?」 「いいや……どんなに不恰好でも俺は俺にしかなれねえからな。 このラディカル・グッドスピードが変わることなんてあり得ない。 まあ、それでいいんだけどな」 クーガーは未だに痛みを訴えてくる自身の脚を見つめる。 「これが、俺なんだ」 その脚を、誇りを、ゆっくりと撫でた。 「クーガー……」 真司にクーガーを止めることはできない。 眼の前の伊達男は元々後藤を追っていた。 何よりも、最速で走り続けるクーガーをこれ以上走らせないことは誰にもできない。 「死なないでくれよ」 真司は、すがるように呟いた。 ◆ ◆ ◆ 痛みを負ったペリドットを連想させる翠の髪を指で溶かしながら、湿り気の帯びた服を脱ぎ捨てる。 その裸体はスマートだが付くべきところには肉はついている。 獣欲と呼ばれる類の伏せるべき欲望を想起させるものだった。 翠星石と水銀燈の魅力は調度品のような美しさだが、C.C.の魅力はそのようなものではない。 C.C.の魅力というものは、人間としての即物的な欲求を蜂起させる魅力だった。 『人から愛されるギアス』を扱っていたC.C.は、自然とそのような身体に変化していた。 愛と欲の視線がC.C.に羞恥と見栄を生み、その姿が醜くなることを防いだのだ。 「……ルルーシュ」 ゼロの仮面を指で柔らかくなぞり、目を閉じる。 裸体だが、そこにはいやらしさよりも母性があった。 我が子を抱きしめるような、安らかな空気が広がる。 「お前は、嘘のない世界を否定するか?」 嘘がなければいいと思っているのはV.V.たちだけではない。 C.C.だって嘘がなければいいと思っている。 騙されるということは、あまりにも心を傷つけるものだから。 『ざぁんねんでしたぁ! 貴女騙されちゃったの!』 それは辛すぎるものだ。 辛い思い出を消すように、白梅香の香りを身体に吹きかけた。 「考えてもしょうがない」 ゼロの仮面を手放し、変わりに黒の騎士団の女性用制服を身にまとう。 シェリス・アジャーニのHOLY制服ではなく、黒を基調としたその制服を選んだのは単なる感慨からだ。 押し付けられた秩序を打開するべき混沌の制服。 この場にはふさわしいものだと思ったから、C.C.を選んだだけだ。 元々着ていた衣装を脱ぎ捨ててほっぽり出し、その部屋から扉を開ける。 「……ん、Lじゃないか」 扉を開いて周囲を見渡すと、廊下の奥から現れたLの背中が見えた。 相変わらず猫背のままゆったりとした足取りで歩いている。 その手には病院から調達したであろう道具を持っていた。 「おや、C.C.さん。服を着替えたんですか」 C.C.の言葉にLは振り返る。 そういうLの服はすっかり汚れていた。 元々が白い服であるだけに、その汚れは顕著だ。 C.C.はゆっくりとした歩調でLへと近づいていく。 「なんだ、それは?」 「ヴァンさんに渡すテーピングと、空のカプセルを少し拝借してきましただけです。 カプセルには支給されていた青酸カリを入れておこうと思いまして。 幾つか被せると、時間差の効果も出ますから」 「……物騒だな」 「使えるようにしておきたいだけです。何が起こるのか、何が役立つかわかりませんから」 毒を扱っている割に毒気のない顔でLは応える。 冷徹とは強張った顔をしていることではなく、感情のない表情を浮かべることなのかもしれない。 C.C.はゼロの仮面を撫でながら尋ねた。 「先ほどの話、長々としていた割りにはなにもわからないことだったな」 「そうですね、あまり収穫はありませんでした。 なにかわかってしまえば良かったのですが」 「……やらないほうが、良かったかもしれないな。 城戸辺りは考えこむ性質だろう、悪戯に警戒心を高めただけだ」 V.V.の腹を突くのは、正直いい気分ではなかった。 Lたちにとっては単なる悪人だが、C.C.にとっては旧知の仲だ。 仲違いしたとはいえ、己の死のために彼と接触した事実に変わりはない。 そんなC.C.の言葉にLはゆっくりと首を振った。 Lとしてはあの会話が無駄だとは思っていなかった。 「C.C.さん。大事なのは信じる信じないは関係なく、とにかく疑ってかかることです」 「……なに?」 C.C.は疑問の言葉を投げかける。 嘘のない世界とは、全く別の考え方だった。 「疑いたくなくても、徹底的に疑う。 真実とはそう言った痛みの上でしか見つかりません。 疑いを失くした正義が傲慢であるように、疑いを失くした信頼ははっきり言って意味がありません。 どんなに信じていても、疑わなくてはいけないのです。 それも一種の信頼なのですから」 Lの頭によぎっているのは夜神総一郎の姿だった。 息子を信じた上でLに疑わせた。 総一朗は疑うことが真実に近づく道であることを知っていたのだ。 「絶対に間違っている、あるいは、絶対に間違っていない。 真実を求めるためには、どんなに確信していてもその確信を疑う必要があります。 そもそもとして、誰かが別の誰かを傷つけないために嘘を言っているのかもしれませんから。 それは優しさですが、優しさもまた人を窮地に追い込みかねない。 だから、私のように真相を追求する人間は常に疑わなくてはいけない」 「……」 C.C.は言葉を返さないが、Lはそのまま言葉を投げかけていく。 C.C.の胸の内に抱えている疑問を解きほぐすように、言葉を投げかけるのだ。 「この先、強くなければいけません。強くなってもらう必要があるんです。 V.V.の裏に誰が居ても、どんな強大な壁があっても、戦い続けるために。 このどうしようもない現実を生き抜くために、強くなければ全員が死んでしまう」 「……L。そんな言葉はお前が強いから言えることだ」 その言葉を、思わず否定してしまった。 いや、否定と言うよりは、拗ねるような色が濃いだろう。 「誰も彼もが、お前のように強いわけじゃない。 弱くなければ、生きていけない人間も居る」 己のために世界を変えることは自らのために他人を傷つけるような弱い行為かもしれない。 だから、シャルルやV.V.やマリアンヌを弱い人間だと蔑むことは簡単だった。 だが、C.C.にはそれが出来ない。 自分が強いなどとは、口が裂けても言えなかった。 ◆ ◆ ◆ 「……」 「……」 二体の人形の間は沈黙が支配していた。 翠星石は盗み見るように水銀燈へと視線を移す。 病院と言えど人形師の居ない現状で左脚はどうにも出来ず、いまだ欠損部分を無様に晒している。 沈黙に耐え切れず、翠星石が水銀燈へと語りかける。 「蒼星石襲ったらしいじゃねえですか。 こんな時になにを……」 「私たちのアリスゲームが終わったわけじゃないわ。 自分の他にローゼンメイデンが残っている限り、終わらないんですもの。 だったら、襲うほうがよっぽど自然じゃない」 そういう割に水銀燈は暗い表情のままだった。 水銀燈の言葉が正しければ、今も翠星石に襲いかかるべきなのだ。 倒さなければいけない姉妹を前にしても、水銀燈の心の奥には恐怖という鎖が巻き付いているのだ。 「アンタのローザミスティカ渡しなさいよ」 「嫌ですぅ」 そんな挑発の言葉ですら、張りがない。 自然と翠星石の、嫌だ、という否定の言葉も勢いのないものになってしまう。 「……水銀燈と話す機会なんて、思えばそんなになかったですね」 「そんなもの必要ないでしょう?」 「必要ないわけないですぅ」 「必要ないわよ……」 「むぅ……」 不自然にも思えるほど、話題を切り替える。 だが、その言葉にも水銀燈は素っ気ない言葉しか返してこない。 口を尖らして翠星石も答えるが、そこで会話が途切れる。 「……」 「……」 お互い気の強く喧嘩腰になりがちな水銀燈と翠星石だ。 いつもならば売り言葉に買い言葉となり、このような沈黙はめったに存在しなかった。 だが、この場を支配するのは沈黙だけ。 いたたまれない沈黙と、決して歩み寄れない稚拙な口喧嘩。 果たしてその二つならばどちらが良いのだろうか。 「……そろそろ言うけど、貴女も感じたはずよ」 水銀燈は意を決したように、触れてはいけない話題にゆっくりと触れる。 翠星石もピクリと身体を震わせた。 水銀燈の語調で、何を言おうとしたか察したのだ。 「あれは、あの『光』は、私たちも知らないものだったわ。 でも、私たちのよく知っているものと似すぎている」 ――――それは、天を照らす緑色の光。 ――――それは、地を統べる人外の証。 ――――それは、人を滅ぼす王者の石。 ――――その名を、キングストーンと言った。 「ローザミスティカのそれを遥かに上回る、けれどよく似た輝き……」 世紀王の戦いとアリス・ゲームは酷似している。 己を己とする石(ローザミスティカ、あるいはキングストーン)を奪い合い、 複数(ローゼンメインデン、あるいは世紀王)の中から一人だけ特別な存在(アリス、あるいは創世王)を作り上げる。 「……あの光について、お父様はなにか知っているかもしれない。 あるいは、お父様もアレを探してるのかも。あの、異常な光を」 リプラスフォームをまとわない正真正銘のバッタ怪人である仮面ライダーBlackの世界。 そこでキングストーンは賢者の石と呼ばれた。 錬金術師ローゼンがつくりあげたローザミスティカもまた、賢者の石だ。 キングストーンがゴルゴムの賢者の石ならば、ローザミスティカは人類の賢者の石なのだ。 そして、賢者の石とは、卑金属を金に変え、その生命を永遠のものへと変える。 すなわち、錬金術にとって達成すべき『究極の叡智』を指す言葉だ。 キングストーンがゴルゴムにとっての究極であることは言うまでもない。 ローゼンメイデンである彼女たちは、その事実を本能的に理解していた。 キングストーンが強力な力の塊であると、人形である自分たちを完璧な少女に進化させる力があると。 愛と本能が彼女たちに訴えていた。 「あれが、あればわた、し、も――――」 シャドームーンに勝てる、そう考えた瞬間だった。 体全体が震え出す。 眼球は揺れ、嘔吐を呼び戻すような嫌悪感が水銀燈の意思を塗りつぶす。 目に浮かぶのは銀色。 自身の銀髪などよりも冷たい、銀色の鎧が浮かぶ。 緑の複眼に見つめられている。 あの光が、キングストーンという強大な力の塊がシャドームーンのものだとわかってしまった。 今、時空を超えて、睨みつけられている。 「ァ、ア、アァァァアァ!!?」 「な、なんですぅ!?」 突然震えだした水銀燈に対して翠星石は話しかけるが、水銀燈は身体を小さくさせるばかりだ。 当然だ。 王の眼前でなければ、いくらでも元の自分の皮を被ることは許される。 だが、それだけだ。 どれほど装ってみても、水銀燈の魂には恐怖という影がある。 それはどれほど拭っても消えてくれない呪いだ。 水銀燈は既に心が敗北している。 どれだけ元の自分を演じていても、本質的にはすでに水銀燈は水銀燈ではない。 誇り高きローゼンメイデンは、死んでしまっている。 シャドームーンに勝とうと夢想する心すら、許してはくれなかった。 「ハァ、ハァ……ア、アァアア……」 「……大丈夫ですよ」 未だに震える水銀燈に対して、その細い腕を回して抱きしめる。 「まったく頼りねえ姉ですぅ」 「な、なによ!」 敵対心を水星期にぶつけるように叫び立てる。 だが、翠星石はぎゅっと水銀燈の身体を抱きしめる。 「翠星石……貴女、私のこと嫌いじゃないの……なんで、貶さないのよ。 ローゼンメイデンにふさわしくない、みじめな姿を……!」 「嫌いなんかじゃないですし、馬鹿になんかしねえです」 震える身体から翠星石のぬくもりが伝わってくる。 それに甘えたくなる自分が、水銀燈には何よりも耐え難かった。 それでも抜け出す気迫すらない。 「たった七人の姉妹、どうして嫌いになれるですか」 「…………ッ!」 哀れみに似た言葉は優しすぎる。 七体のローゼンメイデンの中で水銀燈が一番知っている。 みじめな人形であれば、誰もが優しくしてくれる。 それでも、その優しさがひどく暖かった。 震えは、治まっていた。 「ねえ、翠星石……」 「なんです?」 震えの治まった水銀燈が、翠星石へと尋ねる。 だが、ただその名前を呼びたくなっただけで明確な話題があったわけではない。 水銀燈は手探りで言葉を探す。 「……貴女、真紅のローザミスティカ持ってるわね」 口に出たのはローゼンメイデン第五ドール真紅のことだった。 水銀燈が最初に出会った、水銀燈が初めて憎しみを抱いた因縁深いローゼンメイデン。 「それ、渡しなさいよ」 「それはダメです」 水銀燈の言葉に対して翠星石は、嫌、ではなく、駄目だ、と答えた。 「ローザミスティカは私たちの魂。 その真紅の魂が私を選んでくれたんです、簡単に渡すわけにはいかねえです」 その言葉で思い出すのは始まりの記憶。 水銀燈がローゼンメイデンとなった瞬間の時間だ。 「真紅の魂が水銀燈に行きたいと思ったのなら、喜んで水銀燈にやるですよ」 「……翠星石、貴女ったら本当にお馬鹿さんね」 記憶の隅に閉じ込められた、優しさと恥辱に溢れた甘々しくも苦々しい記憶。 それが蘇る。 だからこそ水銀燈は怒りを半分、悲しみ半分で小さく呟いた。 「真紅が私と一緒に居たい、だなんて……そんなこと、思うはずがないじゃない」 ◆ ◆ ◆ 「山田……」 霊安室の中に眠る山田奈緒子のその姿に、上田は呆然としながら声を投げかけた。 いくつか怪我をしていることが見て取れた。 半壊した病院に巻き込まれたのだろう。 覚えていても辛いことだから考えないようしていた。 だが、忘れようとしても、心のどこかにその姿があった。 上田はしばしの間、奈緒子の遺体をじっと見ていると、突然声を弾ませた。 霊安室には不釣り合いな、陽気な声だった。 「どうした、今度は復活マジックか? 心停止と皮膚の温度低下とは中々手が込んでるじゃないか、V.V.も騙されているようだ。 だが、やはりYOUは甘いな。私にはそれがマジックだとわかっている。 なにせ私は超優秀な日本科技大教授上田次郎、それに君とは長い付き合いだからな」 奈緒子は何も言わない。 霊安室の中には上田の呑気を装った声だけが響き渡る。 再び沈黙が場を支配すると、上田はふぅと息をつきながら肩を落とした。 そして、メガネを外し隠すようにして顔面を大きな手のひらで覆った。 「……君は本当に死んでしまったのだな」 超常の奇跡にすがる想いを抱いた人間はこんな想いだったのかもしれない。 奇跡とは存在しないからこそ求め続けるものだ。 本来は心のどこかで諦めていたものが手に入るということは、あまりにも甘い誘惑だ。 だが、上田次郎はその甘い誘惑を跳ねのける。 それは上田次郎と山田奈緒子が共通する思いがあるからだ。 「この世に超常現象は存在しない……それが私と君の考えだった」 すっかり冷たくなった手をにぎる。 夜闇の暗さも手伝い、底冷えのするような感覚が上田を襲う。 それでも、その手を握りしめた。 「安心しろ、この会場で起きていることは全て私が解決してやる。 ここには多くの魔法のような出来事がある。 だがな、Lの推理や城戸くんたちの話を聞く限りだとそれは理論を持った技術なのだよ。 彼らの世界……馬鹿らしいが、それ以外に思いつく言葉がないんだ。 とにかく、その世界ではその現象は確かに観測されてしっかりと研究されているらしい。 アルター能力も、ギアスとやらも、ライダーデッキとやらもな。 それはつまり、超常現象などではないことを意味しているんだよ。 どのような不可解な事象も観測されてその理論が研究されればな、そいつは科学になる。 理屈を解明して、この人類の宝である優秀な私が超常現象を科学に変えてみせる」 ただ、上田がその現象を知らないだけなのだ。 理屈はどこかにある。 超常現象とは観測できても解明できないことを意味する。 解明できた瞬間に、それは魔法から科学へと名前を変えるのだ。 「人が蘇るというのならば……その理屈を私が解明してみせる。 言ってしまえば、魔法科学か? とにかくな、人間はそうやって発展してきたんだ。 奇跡のような出来事も、科学という学問によって解明してきたんだよ。 私はV.V.の言う超常現象には乗っかからない、奇跡ならば私の手で掴みとってみせる」 奈緒子はなにも言わない。 当然だ、上田の理論にも死人がしゃべりだすということはあり得ない。 喋り出した時点でそれは生命活動を行なっているということであり、つまりそれは死人ではなくなるのだから。 そして、奈緒子は確かに死人なのだ。 「……だから、君はゆっくりと休むといい。 ここには私と君の知らないことが多くあるが、それでも理屈を無視した超常現象はない。 イカサマ超常現象があったなら、私が一人でそのイカサマを暴いてやる。 そして、この私が君の代わりにその詐欺師に言ってやるさ。 『お前のやっていることは、なにもかもお見通しだ!』ってな」 そう言って、再び奈緒子の手を握る。 人の手とは思えない冷えた手を数分も握り続けると、上田は顔を上げた。 目元が潤んでいる。 上田は涙が零れないように天井を見上げながら、霊安室の扉に手をかける。 だが、そのドアノブをひねることはしない。 振り返り、視線を奈緒子へと戻す。 ――――私は、君のことが…… それでも、己自身も判断できない曖昧な胸中を口にすることはなかった。 【一日目真夜中/G-8 総合病院】 【ストレイト・クーガー@スクライド】 [装備]:葛西のサングラス@ひぐらしのなく頃に、 [所持品]:基本支給品一式、城戸真司のズーマーデラックス@仮面ライダー龍騎 [状態]:身体中に鈍い痛み、両脚に激痛、疲労(大)、応急処置 [思考・行動] 1:後藤を最速で倒す。約束は守る。 2:北岡、ジェレミア、つかさ、レナを探す。 ※総合病院にて情報交換をしました。 ※ギアスとコードについて情報を得ました。 ※真司、C.C.らと情報交換をしました。 【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]庭師の如雨露@ローゼンメイデン、真紅と蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン [支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0~1) [状態]身体中に強い鈍痛、疲労(中)、首輪解除済み [思考・行動] 1:真司と同行し、殺し合いを止める。 2:真紅が最後に護り抜いた人間に会い、彼女の遺志を聞く。 [備考] ※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。 ※真紅のローザミスティカを取り込んだことで、薔薇の花弁を繰り出す能力を会得しました。 【城戸真司@仮面ライダー龍騎(実写)】 [装備]龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎 [所持品]支給品一式×4(朝食分と水を一本消費)、確認済み支給品(0~2) 、劉鳳の不明支給品(0~2)、発信機の受信機@DEATH NOTE 首輪(剣心)、カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎 [状態]身体中に激しい鈍痛、疲労(大)、劉鳳を殺してしまったことに対する深い罪悪感、志々雄への嫌悪、応急処置 [思考・行動] 1:人を守る。 2:右京の言葉に強い共感。 3:翠星石と同行し、殺し合いを止める。 ※絶影を会得しました、使用条件などは後の書き手の方にお任せします。 ※クーガー、C.C.らと情報交換をしました。 【ヴァン@ガン×ソード】 [装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-、バトルホッパー@仮面ライダーBLACK [所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎 [状態]:疲労(小)、右肩に銃創、右上腕部に刀傷、各部に裂傷、全身打撲、応急処置 [思考・行動] 0:とりあえず前に進む。 1:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。 2:C.C.の護衛をする。 3:次にシャドームーンに会ったらバトルホッパーを返す。 [備考] ※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。 ※C.C.の名前を覚えました。 【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】 [装備]:ファサリナの三節棍@ガン×ソード、黒の騎士団の制服@コードギアス 反逆のルルーシュ [所持品]:支給品一式×4、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、ゼロの仮面@コードギアス ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2、カギ爪@ガン×ソード レイ・ラングレンの中の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、白梅香@-明治剣客浪漫譚- 確認済み支給品(0~1)、 [状態]:健康、首輪解除済み [思考・行動] 0:レナと合流したい。 1:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない。 2:後藤、シャドームーン、縁、スザク、浅倉は警戒する。 3:ジェレミアの事が気になる。 [備考] ※不死でなくなっていることに気付いていませんが、回復が遅い事に違和感を覚えています。 ※右京、ルパンと情報交換をしました。 ※クーガー、真司らと情報交換をしました。 【L@デスノート(漫画)】 [装備]ゼロの剣@コードギアス、 [支給品]支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ 角砂糖@デスノート、情報が記されたメモ、S&W M10(5/6)、S&W M10の弾薬(18/24)@バトル・ロワイアル、 首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に 女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、才人の不明支給品(0~1) [状態]肋骨折、疲労(小) [思考・行動] 1:協力者を集めてこの殺し合いを止め、V.V.を逮捕する。 2:シャドームーンを倒す 3:大量の死者を出してしまったことに対する深い罪悪感。 [備考] ※詳細名簿に追加された情報は連れて来られた時系列以外未定です、次の方にお任せします。 ※水銀燈が話したのは夜神月に会ってからの話だけです。 【上田次郎@TRICK(実写)】 [装備]君島の車@スクライド、ベレッタM92F(10/15)@バトルロワイアル(小説) [支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、上田次郎人形@TRICK 雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、 浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(1~3)、銭型の不明支給品(0~1) [状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲 [思考・行動] 0:山田…… 1:Lに協力する。 2:シャドームーンを倒す……? ※東條が一度死んだことを信用していませんが、Lが同じ事を言うのでちょっと揺らいでます。 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン [支給品]支給品一式×6(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、 首輪×2(咲世子、劉鳳)、着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、 農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、 カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0~1)、ロロの不明支給品(0~1) 三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル [状態]睡眠中、疲労極大、右目にヒビ割れ、右眼周辺に傷、左脚欠損、強い恐怖 [思考・行動] 1:シャドームーンを倒すまではLに協力する。 2:キングストーンに興味。 3:出来る事ならば、優勝を目指す。 [備考] ※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。 ※nのフィールドに入ろうとすると「入ろうとする意思そのものが消されてしまう」ようです。 ※Lが話したのは彼が知っている危険人物についての情報だけです。 ※高荷恵の傷薬、石田散薬、包帯はすべて消費しました。 ※残った不明支給品は八人全員が確認しました。 ※シアン化カリウム@バトルロワイアルは複数個のカプセルに入れ替えました。 ※知り合い順名簿の順番は【真・女神転生if…】が【ヴィオラートのアトリエ】の前に来ています。 【石田散薬@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚】 劉鳳に支給。 新撰組副長である土方歳三の実家が製造、販売していた傷薬。 多摩の浪人であった時代に土方歳三が剣術修行のついでに売り歩いた代物。 打ち身、骨折によく効き、熱燗の日本酒で飲むことが推奨されていた。 るろうに剣心本編では斎藤一が薬売りに化けて神谷道場に訪れた際に登場した。 【白梅香@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚】 北条沙都子に支給。 雪代縁の姉である雪代巴が愛用していた香水。 【神崎優衣の描いた絵@仮面ライダー龍騎】 園崎魅音に支給。 幼少の頃に神崎優衣が描いた絵が箱詰めされてある。 怪獣の姿は全てがミラーモンスターである。 【サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎】 ストレイト・クーガーに支給。 これを使用することで、仮面ライダー龍騎が仮面ライダー龍騎サバイブへと進化する。 なお設定上はリュウガもこのカードを使用することでサバイブ体になれる。 時系列順で読む Back 推測 Next Re:寄り添い生きる獣たち 投下順で読む Back 推測 Next Re:寄り添い生きる獣たち 156 推測 ヴァン 157 Re:寄り添い生きる獣たち C.C. 城戸真司 翠星石 ストレイト・クーガー 上田次郎 L 水銀燈
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1 シンが発音が出来ない為、英語発音が良いレイジングハートと西欧出身の人形による特訓が始まる。 シン「エクス……トリームブラ……ストモード」 R・H「NO エクスは此処で息を吐いてモードは小さいゥが入ります」 水銀燈「シンは英語の発音がダメダメねぇ」 シン「仕方ないだろ。何故か慰霊碑が格好悪い日本語で書かれてる世界なんだから」 R・H「シン。 ワンモアセ!」 水銀燈「こうやって舌を出して離す様に発音するのよ」 シン「エクストリームブラストモード!」 R・H「今度はブラストの発音にノイズが混じっています」 水銀燈「ふふふっ。英会話位できなきゃ軍人失格めねぇ。最近では中東の言葉も覚えさせられるのよぉ?」 シン「ち、ちくしょーーー!」 2 R・H「シン。やはり、日本語独特の音の同音感がまだ残っています。 それはオーブ以外では通用しません。もう少し直さないと音声認識が反応してません」 水銀燈「ふふふっ。おばぁかさぁん」 シン「うう、誰だって得手不得手はあるだろぉ」 R・H「水銀燈もドイツ訛りが混じっています。純粋なクイーンズイングリッシュとは音が異なります」 水銀燈「なっ! 私の発音がいけないっていうのぉ?」 シン「へっ。なんだぁ。水銀燈もダメじゃないか」 水銀燈「な! わ、私は英語位出来るわよぉ。大体、シンは舌の使い方が間違ってるのよ(相手の胸元へと飛び込んで)」 シン「うわあっ!……か、顔が近い!」 水銀燈「良い? (相手の両方の頬を掴んで)舌使いはエクスゥの時点で口をこう開いて舌を離すの。モゥドっで息を吐くの」 シン「う、うん(なんだか凄いドキドキしてるぞ、俺!? どうした!?)」 水銀燈「ブラァッで舌を出してね。こうやって? ほら、私のをもっと良く見なさぁい?」 蒼星石「(ガラっ)シンさん居ますか? 僕のところのマスターが………が?」 シン・水銀燈「ん?」 蒼星石「水銀燈、シンさん!? ((お、落ち着くんだ僕。えーと、何をしている? 何をして居るんだ二人は!? こ、こーいう時は素数を数えるんだ。えーと、1! いや、1は素数じゃない! 状況を確認しろ。 シンさんが赤面しながらも座っていて水銀燈がシンさんの量頬を抑えながらも目を細めながら口元を動かしていた。 うん、何か少し唇は濡れている上に舌を出してるし。コレはあれなんだろうか。き、KISSと言う事なんだろうか! 知っているのか雷電!? いや、雷電って誰だろう。此処にはそんな人居ないぞ。 え!? ちょっと待って。人形とマスターがキス!? WHY 何故? 誰か此処に来て説明して! いや、何だろうこの気まずい雰囲気は。まるで蛇に睨まれた様な蛙みたいだ。 ど、どうしたらいいんだろう。こういう時は。な、何か武器は無いか! そういえば本で読んだことがある。こういう時に逃げ出す呪文の言葉があった筈!))」 R・H「蒼星石。どうしましたか? 返答を求めます」 蒼星石「WAWAWA、忘れ物ぉ~~。ご、ごゆぅっくぅりぃぃーーーーーーーーーーーー(脱兎)」 シン・水銀燈「は?」 R・H「彼女は錯乱していました」 そして、次の日からシンと水銀燈は蒼星石から凄い目で見られる様になりました。 3 水銀燈「そうだ、シンと二人きりになるならあの場所があったわねぇ。行くわよぉぅ?」 シン「お、おい、何処へ……って此処は?」 水銀燈「nのフィールドよ。此処ならローゼンメイデンのドール達とミーディアムしか入ってこれないし 他のドールズは今の所シンを狙ってないから安心ね♪」 シン「成る程」 長門「(バリバリ)……ちょっと通りますよ」 朝倉「逃げる? うん、それ無理」 シン「……此処もダメか」 水銀燈「いっそ、シンと光りになるというエンドも」 薔薇水晶「……それBADENDだから」 その1に戻る その3に進む 一覧へ
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プリズムライト(後編) ◆B0yhIEaBOI うっすらと目を開けると、外の光がカーテンの隙間から見えた。もう朝みたいだ。 昨晩はほとんど眠れなかった。いつもなら何処でもすぐに眠れていたのに、どうしても眠ることができなかった。 そして、眠れなかったのは僕だけではなかったようだ。 今、この病室には、僕――野比のび太の他に、3人の人がいる。 水銀燈と、劉鳳さんと、セラスさん。 劉鳳さんとセラスさんが病室に戻って来てから、僕らはほとんど何も喋らない。 なんだか、空気が張り詰めて緊張しているのが僕にも分かる。 お互いがお互いを見張っていると言うか…… これなら、ドラえもんと一緒に見張りに行けば良かったかもしれない。 どうして、みんな仲良くできないんだろう。 「もう朝みたいねぇ。で、貴方は何時まで私のこと睨んでるつもりなのかしら?」 張り詰めた空気の中で、水銀燈が面倒臭そうにそう呟いた。 「……」 それに対して、壁際で座っているセラスさんは黙ったままだ。 セラスさんは、昨晩部屋に戻ってから今までの間、ずうっと水銀燈を睨み続けている。 それはまるで、『少しでもおかしな真似をしたらただじゃおかない!』って言ってるみたいだった。 劉鳳さんは傷が痛むのか、ベッドでずっと横になっていた。 目を閉じて眠っているみたいだけど……この状況で寝られるなんて感心する。 「全くもう、そんな露骨に邪険にしなくてもいいじゃないのぉ。私が貴方達になにかしたぁ?」 返事をしないセラスさんに、水銀燈はゆっくりと喋りだす。 こういうのを“挑発的”って言うのだろうか。 セラスさんの額がピクピクと引きつる。 「何か、ですって? ミオンに――あたしらの仲間に攻撃しといてよく言うよ! あれでもしあの子に何かあったら、ただじゃおかなかった!」 「ふぅん、貴方はあの娘に心底騙されてるのねぇ、お人好しさんなんだから。よくそんなので今まで死ななかったものだわ」 「なッ、まだ言うかッ、この嘘吐きの呪い人形!!」 顔を真っ赤にして怒っているセラスさんだったけれど、水銀燈は全く怯まない。 それどころか、むしろ嬉しそうにすら見えるのは僕の気のせいなんだろうか? 「酷い言われようねぇ。でも、貴方だけには言われたくないわね『嘘吐きの化け物さん』。」 「な、なにをっ……!」 「あら、やっぱり? なんだか普通の人っぽくなかったからカマかけてみたんだけど、図星だったみたいねぇ。 それを黙って私たちに近づくなんて……油断させておいてガブリ、ってつもりだったわけぇ? ああ、それで一晩中私のこと見てたんだぁ。ああ怖い怖い」 「ち、違うっ! 私はアンタが悪さしないようにって!」 「悪さって何よ? 私は貴方とちがって嘘なんかついていないわよ? 私はただ、自分の身を守るために、“しかたなく”応戦しているだけ。 あなたがあのミオンって娘を信じるのは勝手だけど……私が嘘をついているっていう証拠はあるの?」 「それは、その……無いけど……」 「あきれた! 証拠も無いのに人を嘘吐き呼ばわりしてたのぉ? これはこれは、とんだ名探偵さんねぇ」 「あ、アンタとミオンだったら、どう考えてもミオンの方が信じられるんだよ!」 「はいはい。おばかさんは煩いから、もう黙っていてくれるぅ?」 セラスさんはその後も何か叫んでいたけれど、水銀燈はそれらをまるっきり相手にしなかった。 もう、セラスさんはどうでも良い、という風だった。 セラスさんもただの悪口を言ってるだけみたいだったし…… 「全く、騙されるのは勝手だけど、人に迷惑をかけないで欲しいわねぇ。 それより、私はそっちの男の人に用があるんだけど。貴方、ちょっと起こしてくれない?」 「だ、駄目よ! 劉鳳は疲れてるんだからまだ寝かせておかないと……」 そこまで言ったセラスさんの口が、男の人の手で塞がれる。 「いや、もう十分休ませて貰った。奴の相手は俺がする」 目を覚ました劉鳳さんが、体を起こした。 「で、何を俺に聞きたいと言うんだ?」 劉鳳さんが水銀燈を見る。 いや、やっぱり睨みつけている。セラスさんと同じだ。 「……まったく、どうして貴方達はこう刺々しいのかしらねえ?」 「愚問だな。俺達は貴様を敵と認識している。貴様に隙を見せる訳には行かない」 劉鳳さんは、そのとき確かに、はっきりと言った。 水銀燈は敵だ、と。 理由も何も告げずに、ただその結論だけを。 「あらあら野蛮ねぇ。一方的に『お前は俺の敵だ』なんて。私は何にも悪いことなんかしてないのに」 「フン、貴様の言葉など信じるに足りん。貴様は俺達の仲間を攻撃した。それだけで十分だ!」 劉鳳さんはそう言いながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。 「ちょ、ちょっと劉鳳、今ここで戦う気なの? のび太君がいるのに……」 そう言ってセラスさんは劉鳳さんをたしなめるが、 一方でセラスさん自身もいつでも戦えるように身構えている。 この人達は、始めるつもりなのかもしれない。 新しい殺し合いを…… でも、対する水銀燈は相変わらず不敵に笑っている。 「全く、こっちは戦う意思が無いって言うのに。そんな私に襲い掛かるんだ?」 水銀燈は微塵も動じずに話続けるが、 もう劉鳳さんは聞いていない。 「俺は、俺の信じる『正義』を貫くだけだ! もう語ることは無いのか? ならば行くぞ! 絶――」 「そうやって、真紅も殺したの?」 「何ッ!?」 水銀燈が呟いた一言で、劉鳳さんが止まった。 劉鳳さんが真紅を殺した……? あれ……? 「貴方が真紅の遺体から何か――ローザミスティカを盗ったっていうのは本当だったのね」 「貴様……貴様も真紅を知っているのか?」 「真紅はね……私の妹よ。私が聞きたいって言ったのは、真紅のことなのよ」 「……!」 水銀燈が喋るにつれて、劉鳳さんの勢いが目に見えて弱くなっていくようだった。なんだか顔も青い。 よっぽど劉鳳さんが話したくないことなんだろうな、と思った。 そう思いながらも、僕は記憶を掘り返す。 確か……真紅って、ドラえもん達と一緒にいたんだよね? そして、女の人と戦って、死んだんだ……ってドラえもん達は言ってたはずだ。 劉鳳さんが殺したっていうのは……違うんじゃないのかな?? でも、それなら劉鳳さんもちゃんと『違う』って言えばいいのに…… そう思う僕に答えるように、劉鳳さんが話し出した。 「真紅には……すまないことをした。俺が不甲斐無いばかりに……確かに、俺が殺したのも同然なのかもしれない」 でも、その言葉を聞いたとたんに、水銀燈の目が変わる。 今度は水銀燈が劉鳳さんを睨みつけて、叫んだ。 「その“すまないこと”って言うのは、真紅を見殺しにしたってこと? 遺体はほっといてローザミスティカだけ盗ったってこと? それとも……真紅を殺して、ローザミスティカを奪ったことなの? 答えなさい!」 それまでとはうって変わって、水銀燈が劉鳳さんを責め立てる。 劉鳳さんは……なんだか歯切れが悪い。何か、やましいことでもあるのだろうか? 「ち、違う! 俺はただ、真紅を保護しようとしただけだ!」 「そして、勢い余って殺しちゃったって言うの!?」 「違う! 保護するために探していたが、見つけたときには真紅はもう既に死んでいたんだ!」 「その割にはちゃっかりローザミスティカを盗んでいったのよね? 真紅のことは置き去りにして」 「あ、あの時は急いでいたから、仕方なく……!」 「下手な言い訳ねぇ。私の言うことは信じない癖に、そんな世迷いごとは信じろっていうの? 貴方達、人の悪口言いふらすんなら、きちんと『証拠』を見せなさいよ。貴方達が嘘吐きじゃないのならね!」 「証拠……ああ、そのとき同行していた人物なら……いや、しかし……」 「なによ、まどろっこしい。嘘ならもっと上手くつきなさいな?」 嘘……じゃない。きっと、これは誤解なんだ。僕はそう信じたい。 劉鳳さんも水銀燈も、きっと勘違いをしているだけなんだ。 水銀燈はきっと、真紅が死んだことが悲しくて、こんなに怒ってるんだ。 劉鳳さんも、真紅を守れなくて悲しいだけなんだ。 劉鳳さん……ジャイアンとも一緒だったんだし、きっと劉鳳さんが人殺しだなんて、何かの間違いに決まってる。 誰かが嘘を言って、誰かが誰かを騙そうとして……そんなの、もう嫌だ。 きっと、ほんのわずかな行き違いなんだ。大切なパズルの1ピースが抜けているだけなんだ。 きっと、その一枚がきちんとはまれば、みんな仲良く協力できるはずなんだ……! 「水銀燈、ちょっと待って……」 でも、そう言いかけた僕の言葉は劉鳳さんの一言に掻き消された。 「嘘ではない! 俺は、確かに峰不二子と一緒だった……!」 そう言った劉鳳さんは、 『しまった』という顔をした。 僕は、それをはっきりと見ていた。 「不二子? ……それって……」 「……そうだ。太一少年を殺したという女だ」 その言葉を聞いた瞬間に、僕の劉鳳さんを庇う言葉は、のどの奥へと飲み込まれていった。 ……え? ……太一くんを殺した女の人……? その人と、劉鳳さんは、一緒にいた……? それじゃあ、劉鳳さんとその女の人は……もしかして…… ナカマナンジャナイノ? バラバラだったパズルのピースが合わさると、それまでとは全く違った答えが浮かび上がる。まさにそんな感覚だった。 そうだ。太一君を殺した女の人……その人が、真紅を殺した人だとしたら? それなら、ドラえもん達の言ったこと、水銀燈の言うことも間違っていない。 それに、それでなくても劉鳳さんの周りには危険な人が集まっている。 人殺しの女の人、化け物? のセラスさん。水銀燈を襲ったミオンって人と、その仲間。ハルヒさんもそうかもしれない。 じゃあ、ジャイアンは? ジャイアンもまさか!? ……そうかもしれない。ジャイアンはいつも僕を苛めていたし、なんでも力ずくだったし…… それとも、ジャイアンもこの人達に騙されていたのかもしれない。 そう、ついさっきまでの僕みたいに。 「あきれた! 自分の無実を証明してくれるのが人殺しだけですって? そんな言い訳が本当に通じるとでも思っているの!?」 そうしてみると。なんだか水銀燈の言うことがとてもまっとうに聞こえる。 でも、劉鳳さんは劉鳳さんで開き直っている。 「信じてくれとしか、俺には言えない。水銀燈、お前の妹を護れなかったのは俺の責任だ。すまなかった」 相変わらず横柄なまま、劉鳳さんが水銀燈に頭を下げた。 白々しい。 当然、水銀燈はそんな程度では収まらない。 「それにねぇ、私が聞きたいのはそんな薄っぺらい謝罪じゃなくて、真紅がどうして死んだか、なのよぉ? あと、私の他の妹について何か知っていたら教えて欲しいわねぇ。みんな、もう死んじゃったけど。 案外、アンタが皆を殺して回ってるんじゃないのぉ?」 「あんた、黙って聞いてりゃあ!」 セラスさんがいきり立つ。 ……セラスさんも、劉鳳さんの仲間……。 ということはやっぱり、水銀燈が言ってることは、本当なの……? でも、水銀燈はセラスさんを無視し続けたまま話し出す。 「劉鳳、って言ったっけ? あなた、口では『正義』とか『仲間』とか綺麗な言葉を並べてるけど…… そういうのって、口で言うだけじゃなくて行動で示すものなんじゃないのぉ? だのに、貴方はさっきから『お前は嘘吐きだ』『お前は敵だ!』とか勝手に決め付けて襲ってこようとするしぃ。 貴方、本当は正義だなんだって言いながら、ただ純粋に暴れたいだけなんじゃないのぉ? 『正義』を言い訳に使っちゃだめよぉ? 暴れん坊さぁん」 そして、水銀燈はわらった。 劉鳳さんとセラスさんを、心底馬鹿にするように。 そのとき、僕には水銀燈の声が聞こえた気がした。 『貴方たちの嘘はお見通しよ』って。 「貴様ッ!! 俺の正義を愚弄するかッ!!」 「ふざけんなッ!! それ以上言うとぶっ飛ばすよ!!」」 反射的に、2人が水銀燈に詰め寄った。 怒りに震える2人とは対照的に、水銀燈は身じろぎ一つしない。 そして先に水銀燈に掴みかかったのは、セラスさんだった。 水銀燈の胸元を掴むと、小さな水銀燈の体は軽々と持ち上がる。 「自分の嘘を棚に上げて好き勝手言いやがって……訂正しろ!」 セラスさんの目は、赤く、獰猛な獣の目そのものだ。 それでも水銀燈は怯まない。 「なぁに? 反論できなくなったら暴力で解決するのぉ? ホント野蛮ねぇ、あんたたちの『正義』って。 ……悪いんだけど、服にシワが付いちゃうから離してくれない?」 「コイツ……!」 セラスさんの空いているほうの手が、強く握りしめられる。 そして、水銀燈の顔面に向かって、 振りぬかれ―― 「止めなさい! 何やってるのよ!!」 病室内に、凛さんの声が響いた。 病室の入り口には、見張りに立っていた凛さんとドラえもんの姿があった。 「……!」 セラスさんの拳が、水銀燈の目の前で止まる。 その余勢が、水銀燈の髪を揺らす。 そして、次の瞬間―― 「ああ、怖かった……ちょっと凛! もっと早くに助けに来てよぉ……」 今までからは信じられない、とても儚げで弱々しい泣き顔で水銀燈は凛さんを見た。 「あんたたち2人にならここを任せておけると思ったのに……残念だわ」 凛さんの表情は、とても険しかった。 「……セラス、水銀燈を離して。話はそれからよ」 「何があったの?」 その凛さんの言葉は、この部屋にいる全員に対してのものだった。 凛さんは、喧嘩を始めた2人に怒っているようだった。 間髪いれずに水銀燈が喋りだす。 「聞いてよ凛、この人達、私とお喋りしてたらいきなり怒り出して殴りかかってきたのよぉ」 セラスさんも黙ってはいない。 「よくも出任せをいけしゃあしゃあと! コイツはあたし達の仲間と、劉鳳の正義を侮辱したんだ! 劉鳳に謝れ!」 「謝るのはそっちでしょぉ? 証拠も無いのに人のことを『嘘吐き』だの『敵』だの…… それに殴りかかってきたのはあんたじゃないの。私は何もしてないわよぉ?」 「コイツ、まだそんなことをッ!」 反射的に水銀燈に伸びたセラスさんの手を、途中で凛が止める。 「止めなさい。それ以上やると私が相手になるわよ」 「ちょ、ちょっと! 凛はソイツのことを信じるの!? いい加減騙されてるって気付きなさいよ!!」 「冷静にいまの状況だけを見れば、セラスが水銀燈を殴ろうとしている。それだけよ。 理由が何なのかは知らないけど、それすら知らないままに目の前で仲間が喧嘩するのを黙って見過ごす訳にはいかないわ」 「だ、だから私たちの言ってる方が……」 「水銀燈の言ってることの方が本当だよ!!」 部屋中の、全ての目が僕を見つめていた。 「の、のび太君、それってどういう……?」 ドラえもんの言葉を最後まで待たずに、僕は話し出す。 「水銀燈は、自分の妹がどうなったのか、どうして死んだのか、それを劉鳳さんに聞いていただけなんだ。 なのに、2人とも水銀燈のことを嘘吐きだ、敵だって決め付けて…… それに水銀燈の妹が死んだのって、劉鳳さんのせいなんでしょ!? 水銀燈が怒るのも当然だよ!! なのにセラスさんは水銀燈のことを殴ろうとするし…… 正しいのは水銀燈だよ! その2人は喧嘩が、殺し合いがしたいだけなんだよ!!」 そう、一気に言い切った。 ――そうだ。劉鳳さんとセラスさんより、凛さんと水銀燈の方が信じられる。 凛さんと水銀燈は、昨日はほとんど僕と一緒にいて、怪我を治してくれて、僕のことを護ってくれた。 でも、劉鳳さんとセラスさんは、ついさっき会ったばかりなんだ。 しかも、水銀燈が襲われたミオンっていう人と仲間だって言うし、 それに不二子っていう人とも……! 口の中が乾く。喉がひりひりする。 自分が、肩で息をしていることに気付く。 肺の中の空気が空っぽになったみたいだった。 「の、のび太君、私たちは貴方達のことを思って……」 「じゃあ、なんで嘘吐いてたの!? 化け物だって、なんで黙ってたの!?」 『化け物』という言葉に、セラスさんの表情が陰る。 それと同時に、酷いことを言ってしまったのだという罪悪感で、胸が締め付けられる。 でも、僕は悪くない。悪いのは、嘘を吐いていたセラスさんの方なんだから。 重苦しい空気が病室内に充満していた。 誰も話し出そうとしなかった。 自分の荒い息の音だけが、いやにうるさく聞こえていた。 でも。 「Master!」 何処からともなく聞こえてきた無機質な声が、病室内の静寂を乱した。 そして、レイジングハート――という名の魔法の杖に急かされたように、凛さんが話し出す。 「ありがと、レイジングハート。皆に先に言っとかなきゃならないことがあるから、それを先に言うわ。 ――この病院に近づいてくる人間がいます。それも、一人で」 凛さんの言葉に、みんなの表情が強張る。 「一人って、それって……」 「ええ、偽凛のこともあるけど、この時間帯で単独行動をとるような奴は……人を殺して回っている、凶悪な殺人者の可能性が低くない。 新たな獲物を探して徘徊しているのかもしれない」 「さ、殺人者!?」 ドラえもんと、僕が震え上がる。 でも、ううん、それは違う。 僕はもっと前から震えていたんだから。 ――だって、僕はずっと、人殺しかも知れない人と一緒にいたんだから……。 凛さんが話を続ける。 「そいつは結構なスピードでまっすぐここに向かってきてたんだけど、さっきから急にスピードが落ちたわ。 もしかしたら、戦闘の痕跡を見て警戒しているのかもしれない。……油断はできないわよ」 「ちょっとまって、そいつ、もしかしたら敵じゃなくて私たちの仲間かもしれないよ! 私達の集合場所はここなんだし!」 「そうだ! それに敵が襲ってくるというならば、この俺がッ!」 「待って!」 今にも病室の外へ飛び出そうとする2人を凛さんが呼び止める。 「劉鳳、アンタは怪我人でしょ。……悪いけど戦闘になったら足手纏いよ。 セラスもここに残って。劉鳳とドラえもん、のび太を任せるから。もしものときは皆を守って頂戴」 「で、でもっ、私達の仲間なら、私達が行ったほうが……! それに、凛一人だけだと危険かもしれないしっ!」 それでも食い下がるセラスさんにも、凛さんは譲らない。 「大丈夫よ。アンタ達の仲間の情報なら、既に教えてもらってる。 それに……一人で心配なら、水銀燈も連れて行くわ。いいわね、水銀燈?」 「わたしはいいけどぉ?」 「ちょ、ちょっと! そいつなんて連れて行ったら余計にややこしいことに……」 「今の頭に血が上ってるアンタを連れて行くよりはまだマシよ」 セラスさんの不満も、凛さんが一蹴した。 そうだ。凛さんの言うとおりだ。 人殺しの仲間なんて連れて行ったら、凛さん達の方が危なくなってしまうに違いない。 「Master! The target is coming into the enter! (マスター、対象が玄関に到達します!)」 「わかった、レイジングハート。セラス……水銀燈と何があったのかは知らないけど、話は後でちゃんと聞くからね。 じゃあ、私が玄関で対象と接触します。行くわよ水銀燈! 病室の皆は、何かあったら頼むわよ!」 凛さんのテキパキと指示を出していく様子が、改めて緊迫した状況を際立たせていた。 でも、水銀燈を連れて行くのは……やっぱり凛さんも他の2人よりも水銀燈の方を信用しているということなのだろうか? 凛さんにも早く教えてあげないと。この2人が危険だっていうことを。 「じゃあ、行ってくるから! でも、危なくなったら私たちのことは放って、逃げて!」 そう言い残すと、凛さんは水銀燈を連れて廊下を走りだした。 2人分の足音が、どんどん遠くへ消えてゆく。 そして、病室内はまた、静かになった。 ドクン。 ――ちょっとまった。 ドクン。 ――今ここにいるのって、 ドクン。 ――僕と、ドラえもんと、 ドクン。ドクン。 ――劉鳳さんと、セラスさん。 ドクン。ドクン。 ――でも、劉鳳さんとセラスさんが、 ドクン。ドクン。ドクン。 ――僕の思っているとおりに、人殺しと仲間だったなら。 ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。 ――それどころか、人殺しそのものだったなら。 ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。 ――こんなところにいたら、殺されてしまうじゃないか!!!! ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン 「ど、ドラえもん、僕たちも行こう!!」 そう叫ぶや否や、僕はドラえもんの手を掴むと、一気に病室の外へ走り出した。 「お、おいのび太君!?」 背中で劉鳳さんが僕を呼ぶ声が聞こえたけれど、気にしない。 「の、のび太君、一体どうしたんだ!?」 ドラえもんが叫ぶけど、あとまわし。 いまは、とにかくあの2人と離れないといけない。それだけを考えていた。 なんだか息が苦しくて、喉を押さえた。 そして、喉を少し引っ掻いた。 ★ 遠坂凛と水銀燈は、病院玄関の物陰に隠れ、様子を窺っていた。 カズマという異能者が破壊したという病院のロビーは惨憺たる光景ではあったが、瓦礫のせいで死角が多い。 決して油断はできない。 「どう、レイジングハート? 相手は今どの辺りにいる?」 凛がレイジングハートに問いかける。 「Around the entrance door. But I can’t find out exactly.(玄関ドアの周辺と思われます。細かい場所までは分かりません) そして、レイジングハートは即座に答える。 このやり取りも何度も繰り返すうちに、ずいぶんとスムーズに行われるようになっていた。 これを信頼の賜物、というのは過剰な表現なのだろうか。 「いい、水銀燈、いつかみたいに先制攻撃するのは無しよ。平和的な交渉が第一。一応、万が一には備えておいて欲しいけど」 「分かってるわよぉ、心配いらないわぁ」 水銀燈が答える。こちらもスムーズに意思疎通が図られる。 では、彼女らの信頼は如何ほどのものなのだろうか? この病院において、凛の水銀燈に対する信頼が大きく揺れているのは、 もはや火を見るよりも明らかな事実である。 だが一方で、凛は水銀燈を完全に敵だと、自分を騙し誑かす獅子身中の虫であると断定できずにいる。 ――もし、もっと早く水銀燈のことを凛に打ち明けていれば、凛も素直に聞き入れてくれたのだろうか? 「……来るわよ!!」 凛の体が緊張する。だが―― 「そこに誰かいるのか!? 待ってくれ! 俺は敵じゃない! 警官だ!」 ロビーの中に聞きなれない男の声が響き渡った。 「ちょっと、凛どうするつもり?」 「シッ、黙って!」 男の声は続く。 「俺の名前はトグサ! 人を探している! 仲間がこの病院に居るはずなんだ! こちらから危害を加えるつもりは無い! 話だけでも聞いてくれ!!」 「トグサ? トグサって、セラス達が言ってた仲間の中にいたわよね?」 「確かにね。でも、偽名だってこともあるわよ? ついさっき自分の名前を使われたの忘れたのぉ?」 「うるさいわね、分かってるわよ! でも、タイミングが良すぎる。やっぱり本人の可能性も……」 だが、そんな凛と水銀燈が躊躇するのを見越したかのように、男が先手を打ってきた。 「わかった。ほら、俺が先に姿を出す。ほら、手を上げたぞ。危害は加えない。だから話だけでも聞いてくれ!」 物陰から窺う限り、確かに男は両手を上げて、無防備な姿を晒している。 一見して、敵対心が無いのが見て取れた。 少なくとも、凛にとっては。 凛が、男に呼びかける。 「わかった。私は凛。私も無駄に争うつもりは無いわ。待ってて、今そっちに――」 そう言いながら凛が物陰から姿を現した瞬間だった。 凛は、男の顔が見えなかった。東向きの玄関から差し込む朝日に包まれて、男の顔が光の中に紛れてしまっていたからだ。 でも、男は凛の顔が良く見えたに違いない。 そして、凛が太陽光に目を細めている間に。 男は、凛めがけて発砲した。 その銃声に僅かに遅れ、水銀燈の黒羽が男に襲い掛かる。 そのおかげで、男は次弾を発射する暇なく物陰に退いた。 「ぐッ、やっぱりアイツ、敵だったみたいね……!」 「人の言葉をホイホイ信じるからそうなるのよ。おばかさぁん」 物陰に身を潜めた凛は、痛みに顔を顰めながら右肩に触れる。 大丈夫、バリアジャケットのお陰で貫通はしていない。 でも、右手が痺れる。衝撃を完全には吸収しきれなかったようだ。 これでは、当たりどころによっては致命的な傷を負ってしまうかもしれない。 「でも、どういうことなの!? あいつは確かにトグサと名乗ったけど……やっぱり偽名だったの?」 「かもねぇ。それとも、あのトグサって奴がもともとそういう危険な奴なのかもしれないわよぉ? 気付かない? アイツ、前にここ、病院で戦った奴じゃないの?」 「……そういえば、あんな顔してたっけ。武器も銃だった。 それに、アイツいい腕してるわね……初めから肩を狙って撃ってた。あの僅かな間で正確に」 「さしずめ、戦果を上げて根城に戻ってきた、ってところじゃないのぉ? 油断してると、貴方も撃墜マークの一つになっちゃうわよぉ?」 「冗談!」 凛は、ギリッと歯を食いしばる。 「……こんなところで……私は止まってる場合じゃないのよ。」 凛の口から漏れるその言葉は、独り言なのか、それとも凛の決意表明なのか。 「私の熾した火を、絶対消させたりなんかしない……絶対に!」 そして、凛が私――レイジングハートを強く握り締めた。 ――さあ、行こう。マイマスター。 そして、その私たちを嘲笑うかのように、ギガゾンビの姿が空に浮かび上がった。 6度目の放送が響き渡る―― 【D-3 病院 2日目・早朝】 【遠坂凛@Fate/stay night】 [状態] 魔力小消費、疲労、水銀燈と『契約』、右肩打撲 [装備] レイジングハート・エクセリオン(アクセルモード・全弾再装填済)@魔法少女リリカルなのは バリアジャケットアーチャーフォーム(アーチャーの聖骸布+バリアジャケット) デバイス予備カートリッジ残り33発 [道具] 支給品一式(食料残り1食。水4割消費、残り1本)、ヤクルト一本 エルルゥのデイパック(支給品一式(食料なし)、惚れ薬@ゼロの使い魔、たずね人ステッキ@ドラえもん 五寸釘(残り30本)&金槌@ひぐらしのなく頃に 市販の医薬品多数(胃腸薬、二日酔い用薬、風邪薬、湿布、傷薬、正露丸、絆創膏etc)、紅茶セット(残り2パック) [思考]基本:レイジングハートのマスターとして、脱出案を練る。 0:襲撃者(トグサ)の撃退。 1:水銀燈を監視する 2:劉鳳とセラスの治療を続行(だが、2人に僅かな疑惑を持っている。) 3:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。 4:セイバーについては捜索を一時保留する。 5:リインフォースとその持ち主を止める。 6:自分の身が危険なら手加減しない。 [備考] ※レイジングハート同様、水銀燈に対して強い疑心を持ち始めました。 ただし、水銀燈を信じたいという気持ちもあり、中途半端な状態です。 ※緑の髪のポニーテールの女(園崎魅音)の判断は保留。 ※夜天の書の持ち主が水銀燈ではないかと疑い始めています ※リリカルなのはの魔法知識、ドラえもんの科学知識を学びました。 [推測] ギガゾンビは第二魔法絡みの方向には疎い(推測) 膨大な魔力を消費すれば、時空管理局へ向けて何らかの救難信号を送る事が可能(推測) 首輪には盗聴器がある 首輪は盗聴したデータ以外に何らかのデータを計測、送信している 【水銀燈@ローゼンメイデンシリーズ】 [状態] 服の一部損傷、消毒液の臭い、魔力小消費、疲労、凛との『契約』による自動回復 [装備] 真紅のローザミスティカ [道具] 支給品一式(食料と水はなし) ストリキニーネ(粉末状の毒物。苦味が強く、致死量を摂取すると呼吸困難または循環障害を起こし死亡する) ドールの螺子巻き@ローゼンメイデン、ブレイブシールド@デジモンアドベンチャー、照明弾 ヘンゼルの手斧@BLACK LAGOON、夜天の書(多重プロテクト状態) @魔法少女リリカルなのはA s くんくんの人形@ローゼンメイデン、ドールの鞄@ローゼンメイデン 、透明マント@ドラえもん [思考]基本:魔力補給を考慮して、魔力を持たない強者を最優先で殺す。 1:凛が偽名を使っていたことや見解の相違を最大限利用して仲たがいさせる。 2:チャンスがあれば誰かを殺害。しかし出来る限りリスクは負わない。 3:凛との『契約』はできる限り継続、利用。殺すのは出来る限り後に回す。 4:ローザミスティカをできる限り集める。 5:凛の敵を作り、戦わせる。 6:あまりに人が増えるようなら誰か一人殺す。劉鳳に関しては、戦力にするか始末第一候補とするか思案中 7:青い蜘蛛にはまだ手は出さない。 [備考]: ※透明マントは子供一人がすっぽりと収まるサイズ。複数の人間や、大人の男性では全身を覆うことできません。また、かなり破れやすいです。 ※透明マントとデイパック内の荷物に関しては誰に対しても秘密。 ※レイジングハートをかなり警戒。 ※デイパックに収納された夜天の書は、レイジングハートの魔力感知に引っかかることは無い。 ※夜天の書装備時は、リインフォース(vsなのは戦モデル)と完全に同一の姿となります。 ※夜天の書装備時は、水銀燈の各能力がそれと似たベルカ式魔法に変更されます。 真紅のローザミスティカを装備したことにより使用魔法が増えました。 ※リインフォースは水銀燈に助言する気は全くありません。ただし馬鹿にはします。 ※水銀燈の『契約』について:省略 ※水銀燈ver.リインフォースの『契約』について 魔力収奪量が上昇しており、相手や場合によっては命に関わります。 ※水銀燈の吐いた嘘について。 名前は『遠坂凛』。 病院の近くで襲われ、デイバックを失った。残ったのはドールの鞄とくんくん人形だけ。 一日目は、ずっと逃げたり隠れたりしていた。 【ドラえもん@ドラえもん】 [状態]:中程度のダメージ、頭部に強い衝撃 [装備]:虎竹刀@fate/stay night [道具]:支給品一式(食料-1)、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"ゲームCD@涼宮ハルヒの憂鬱 [思考・状況] ジャイアンの死にかなり動揺したものの、のび太がいることもあり外見上は落ち着けている。 1:の、のび太くん!? 2:アルルゥを探す 3:自分の立てた方針に従い首輪の解除に全力を尽くす 基本:ひみつ道具と仲間を集めてしずかの仇を取る。ギガゾンビを何とかする。 [備考] ※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。 ※凛とハルヒが戦ってしまったのは勘違いに基づく不幸な事故だと思っています。 偽凛については、アルルゥがどうなっているか分かるまで判断を保留。 【野比のび太@ドラえもん】 [状態]:ギガゾンビ打倒への決意、左足に負傷(行動には支障なし。だが、無理は禁物) [装備]:強力うちわ「風神」@ドラえもん [道具]:支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服@ひぐらしのなく頃に [思考・状況] 精神が不安定。疑心暗鬼に陥り始めている 1:劉鳳とセラスから離れたい。 2:ドラえもん達と行動しつつ、首輪の解除に全力を尽くす。 3:なんとかしてしずかの仇を討ちたい。 [備考] ※劉鳳とセラス、及びその仲間を殺人者だと思い込んでいる。 ※凛のことも疑っているが、他の人よりは信頼している。ただし、偽凛は敵だと判断している。 【劉鳳@スクライド】 [状態]:全身に重いダメージ、若干の疲労が残る。 [装備]:なし [道具]:支給品一式(-3食)、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱、ビスクドール [思考] 基本:自分の正義を貫く。 仲間、闘う力のない者を守ることを最優先。 悪の断罪は、守るべき者を守るための手段と認識。 1:のび太とドラえもんを守る(対水銀燈を含む) 2:病院で凛の手当てを受ける。 3 ゲームに乗っていない人達を保護し、ここから解放する。 [備考] ※ジュンを殺害し、E-4で爆発を起こした犯人を朝倉涼子と思っています。 ※朝倉涼子については名前(偽名でなく本名)を知りません。 ※凛は信用している ※水銀燈は全く信用していない。自分達を襲った犯人もひょっとしたら? と思っている ジャイアンの死の原因となった戦闘は自分の行為が原因ではないかと思っています。 【セラス・ヴィクトリア@HELLSING】 [状態]:全身打撲、裂傷及び複数の銃創(※ほぼ全快) [装備]:対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾:6/6発)@HELLSING、アーカードの首輪 13mm炸裂徹鋼弾×36発@HELLSING、スペツナズナイフ×1、ナイフとフォーク×各10本、中華包丁 銃火器の予備弾セット(各40発ずつ、※Ak-47、.454スカール、S W M19を消費。デバイスカートリッジはなし) [道具]:支給品一式(×2)(メモ半分消費)(食料-2)、糸無し糸電話@ドラえもん [思考] 基本:トグサに従って脱出を目指す。守るべき人を守る。 0:銃声……!? 1:劉鳳、のび太、ドラえもんの護衛(対水銀燈と他の優勝狙いの参加者) 2:劉鳳のフォロー。 3:食べて休んで回復する。 4:病院を死守し、トグサ達を待つ。 [備考] ※セラスの吸血について:略 ※現在セラスは使役される吸血鬼から、一人前の吸血鬼にランクアップしたので 初期状態に比べると若干能力が底上げされています。 ※凛を全面的に信用しています。偽凛は敵だと判断。水銀燈は敵だと判断し、要警戒だと思っている トグサは、改めて自分の武器を握り締める。 銃の残弾は5発、リロードのロスを考えると、乱射するだけの余裕は無い。 一発で無力化しようと試みたのだが……相手の特殊な防弾具と仲間の存在から、失敗に終わってしまった。 ――今のが少佐にばれたら、またどやされちまうな。 だが、自嘲気味に口元を緩めるトグサの目は、笑わない。 トグサは、この病院に来るまでに無数の戦闘の痕跡を目にしてきた。 そして、この病院の玄関もまた、盛大に破壊されている。 そして、その戦闘痕は、トグサ仲間のもの――劉鳳やセラスとは、別の何者かによるもののようだった。 ということはつまり、自分の知らない何者かがここで戦闘行為を行った、と見て間違いない。 さらに問題なのは、トグサの仲間……劉鳳たちは先に病院へ向かったはずだし、 ドラえもんとのび太の2人もここに居たはずなのだ。 だが、その病院で待っていたのは、戦闘のあった跡と、かつて自分たちを襲った二人組。 トグサは確信していた。 『俺の仲間は病院でこの2人と出会い、戦闘行為に巻き込まれたのだ』と。 以前にもこの2人組は、問答無用でトグサ達に襲い掛かってきた。 ならば、この2人組がトグサの仲間と出くわしたなら、どうなるか? ――こいつらに躊躇など無用だ。 なんとかこの2人組を撃退し、仲間の無事を確認しなければならない。 それに、俺が時間を稼げばトウカ達が病院に来るかもしれない。 今俺がすべきことは……ッ!! 「クソっ、皆、無事でいてくれよ……!?」 【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】 [状態]:疲労と眠気、SOS団団員辞退は不許可 [装備]:S W M19(残弾5/6発)、刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、マウンテンバイク [道具]:デイバッグと支給品一式×2(食料-4)、S W M19の弾丸(34発)、警察手帳(持参していた物) 技術手袋(使用回数:残り16回)@ドラえもん、首輪の情報等が書かれたメモ1枚(内部構造について追記済み) 解体された首輪、フェイトのメモの写し [思考] 基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。 1:以前襲撃してきた「2人組」を撃退。その上で病院内に仲間がいないか探索。 2:病院にて①ドラえもん、のび太、劉鳳、セラス、ジャイアンと合流。カズマの行動についての経緯を問い質す。 ②ハルヒとアルルゥがいるかを確認。いないようなら彼女らを捜索。 3:病院に人が集まったら、改めて詳しい情報交換を行う。 4:機械に詳しい人物、首輪の機能を停止できる能力者及び道具(時間を止めるなど)の探索。 5:ハルヒからインスタントカメラを借りてロケ地巡りをやり直す。 6:情報および協力者の収集、情報端末の入手。 7:エルルゥの捜索。 [備考] ※風、次元と探している参加者について情報交換済み。 時系列順で読む Back 暗闇に光る目 Next 第五回放送 投下順で読む Back 暗闇に光る目 Next 第五回放送 257 プリズムライト(前編) 遠坂凛 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) 水銀燈 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) ドラえもん 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) 野比のび太 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) 劉鳳 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) セラス・ヴィクトリア 264 SECRET AMBITION 257 プリズムライト(前編) トグサ 264 SECRET AMBITION
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1 美由希「シン君、ちょっと残れるかな?」 シン「ええ?ちょっと今日は…これからスーパーの特売があるんで」 美由希「大切な話があるんだけどな」 シン「せ、先生。いや…ちょっと」 ???「(ガラッ)美由希、シンが困ってるだろう?ちょっと落ち着かないか」 シン「あ、あなたは」 レイ「(ガラッ)←教室のドアから なのは本編で活躍する機会があるかと思ったら父親よりも登場する機会が なかった高町恭也先生じゃありませんか」 ルルーシュ「(ガコン)←掃除用具入れから出てきた 実力はあれどもトラハ3本編じゃかなわない(しかもヒロイン勢) 相手も多くていまいち凄さが伝わらない高町恭也先生じゃありませんか」 イスラ「(カラカラカラ)←窓から侵入 さらには二次創作系のSSじゃあトラハ1とか2とかのヒロインにも勝てなかったり 高町恭也先生じゃありませんか」 恭也「周りが人外クラスなんだよちっきしょぉぉぉぉ」 美由希「あ、しまった。これから会議あるんだった、ごめんねシン」 レイ「泣きながら神速使ってどこかへ走り去ってしまったな」 ルルーシュ「気にしていたんだろうか」 イスラ「膝壊れてないといいんだけど」 シン「それよりもお前ら、どっからでてきやがった」 2 プラントにて シン「はぁ~、疲れた~」 水銀燈「まったく、たかがデブリ掃除くらいで疲れるんじゃないないわよ。 ミーディアム失格ね」 めぐ「そうね、水銀燈が言うならミーディアム失格だわ」 水銀燈「めぐ!?一体どこから!!」 シン「えーっと・・・誰?」 めぐ「こっちの方が、病気を治してくれるってゆうから。」 水銀燈「ちょ、だからってこんなところに・・・」 シン「水銀燈、この人・・・誰?」 めぐ「あら、ごめんなさい。初めまして、水銀燈のミーディアムの柿崎めぐです。 よろしく」 シン「あ、ああ。よろしく」 水銀燈「じゃなくて!今はもうあなたミーディアムじゃないじゃない!しかもよくここが」 めぐ「水銀燈は私に会えて嫌なのかしら」 水銀燈「そ、そんなことは……、って、違う、そうじゃなくて、なんであなたがこんなところに」 めぐ「私は水銀燈のミーディアムだから……」 シン「はぁっ、まぁ水銀燈と積もる話もあるだろうからちょっと席はずすよ」 めぐ「気を遣っていたかなくても…あ、いっちゃった」 水銀燈「ちょっと!シン、今のミーディアムはあなたなのよ!なんの疑問も持たず受け入れないでよ!」 めぐ「水銀燈…、私の事、嫌?」 水銀燈「そ、そんな事ないけど……、あー、もうスタッフ(?)どうなってのよ!」 3 シン「(カチャカチャカチャ)」 ヨウラン「お、どーした?シン、お前とうとうオタクになったか?」 シン「違う、予習だ」 ヨウラン「予習?」 シン「ああ、時期的に12人の妹ができるのは避けられたがこれからもしかすると 19人妹が増える可能性もなきにしもあらずだからな。その時のための予習 だよ。」 ヨウラン「19人って・・・シン、お前疲れてるよ。ちょっと休め」 シン「はは、馬鹿だなヨウラン。だって『俺』なんだぜ?」 言葉「今宵の鋸はよく切れる・・・」 はやて「甘いで!」 水銀燈「ふふふ、フェザーファンネル。いきなさぁい」 アティ(抜剣)「見切ったぞ!絶ェッッッッッ対に負けんのだ!!」 ヨウラン「あ、アア。そうだったな。頑張れよ・・・」 シン「(うつろな目で)あ、9女は鉄オタかぁ・・・」 -03へ戻る -05へ進む 一覧へ
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780 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2007/11/26(月) 19 00 45 教会から伸びる下り坂を降りていく。 腕の中に水銀燈の身体を抱いて。 「なぁ、水銀燈」 そっと、呼びかける。 水銀燈は答えない。 静かに、身動き一つせずに、ただ俺の腕の中で眠っているようだった。 聞こえないだろうとわかっていながら、それでも聞いていて欲しいと願いながら、俺は言葉を続けた。 「俺、水銀燈のこと、なんにも知らないよな。 水銀燈が何に喜ぶのか。 水銀燈が、何に怒るのかも。 そんなだから、水銀燈に愛想尽かれて当然かもしれない。 でも……」 ああ……未練だ。 俺は、こんなにも未練たらしく、残されたものに縋ろうとしている。 それでも、口にせずにいられない。 だって、俺たちはまだ何も分かり合えていないんだから。 「もう一度、話がしたいんだ。 水銀燈の楽しいと思うこと、いやだって思うこと、なんだっていい。 何も知らないまま終わり、なんて嫌なんだ。 ……なぁ、水銀燈。 俺はまだ、お前のミーディアムでいたいよ」 返事は、やっぱりない。 強い意思を秘めた瞳は、千切り取られた黒翼と、もぎ取られた右腕とともに消え去っていた。 傍から見たら、壊れた人形にしか見えないだろう。 だけど、俺は彼女が誰よりも誇り高い存在だということを忘れていない。 だから、俺は俺がやるべきことを心に決めた。 ……ふっと、脳裡に見知らぬ街で見た、人形師の姿が浮かんで消えた。 あの時感じたのは、人形師に対する憧憬。 悪い冗談みたいな話だ。 俺は今、憧憬どころか、その人形師の業に挑もうとしている。 「待ってろ。必ず、水銀燈を直して(治して)みせるから」 月の照らす帰り道。 誰にも聞かれることの無い誓いを立てて、俺は水銀燈を抱きしめた。 『銀剣物語 第六話 了』 さーて、来週の銀剣物語は? 雛苺なの! やっと水銀燈が見つかったの……でも、水銀燈の羽根と手が壊れちゃってたの! かわいそう、とっても痛そうなの……。 シェロゥは、必ず直す、って言ってるけど……うゆぅ、大丈夫かな? えーと、次回は、 「彼女を起こす100の方法」 「右腕はどこへ消えた?」 「金持ちバゼット貧乏バゼット」 の三本なの! 来週も、また見てね。 それじゃ、じゃーんけーん、ぽいっ! ぐー :彼女を起こす100の方法 ちょき:右腕はどこへ消えた? ぱー :金持ちバゼット貧乏バゼット
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女子A「い、痛いよ先生!そんなに引っ張らなくてもいいじゃないですか!?」 そんな言葉を無視して、蒼星石は女子生徒を人気の無い場所へと引っ張っていく。 蒼星石にとって、それはまさに信じられないこと…いや信じたくない事だった。 今さっき、この女子生徒がやっていたこと…それは『援助交際』…。 自分の今までやってきたことは何だったんだろう…と蒼星石は自問自答する。 そして、言いようの無い怒りと悲しみが、その心を支配した。 女子A「もういいです!離して下さい!!」 問答無用で手を引っ張る蒼星石を強引に振りほどき、女子生徒はこう言った。 女子A「もう、どうせ退学なんでしょ!?だったら、もうほっといて!!自分のした事ぐらい、分かってますから!!」 蒼星石「…いや、分かってないよ!君は、自分の心と体を他人に売ろうとした…。でも、その重要性を全く理解していない!!」 女子A「…じゃあ、どうしろって言うんですか!?欲しいものは沢山あるのに、小遣いだけじゃ全然足りない…だったら、何かを売らなきゃ仕方ないじゃないですか!?」 蒼星石「それが間違ってるって言うんだよ!確かに、欲しいものは沢山あるかもしれない…。でもそれ以上に、大切なものを君は売ろうとしたんだよ!?」 とにかく、この子を正しい道に戻さなくては…と蒼星石は女子生徒を諭す。 蒼星石「…それに、君の欲しいものってブランド物のバックか何かだろう?そんなの、高校生が持ってるほうがおかしいよ…!もっと、大人になったときに…」 女子「それは、先生の考え方が古いんですよ!今では、そんなのみんな持ってます!それに、今楽しまないでいつ楽しめって言うんですか!?」 蒼星石「古い新しいの問題じゃないだろ!?とにかく、君がやろうとした事…それは間違ったことなんだ!!」 半ば言い合いになる2人。そこへ、1人の人物が声をかけてきた。 水銀燈「何、こんな所で騒いでるのよぉ…迷惑な人たちねぇ…。」 水銀燈の姿を見るやいなや、女子生徒は事情を話した。 この人なら、私の味方をしてくれる…そう思ったに違いない。 全ての話を聞き終えると、水銀燈は静かにこう言った。 水銀燈「バカじゃない?そんな事しなくても、お金なんていくらでも手に入るのにぃ…」 女子A「え!?だって、先生だって同じような事…」 驚いた表情でそう言う女子生徒の頭を殴ると、水銀燈は吐き捨てるようにこう言った。 水銀燈「…あなたみたいな、『四流』と一緒にしないでくれるぅ?私は、これまでただの一度も、体を売ったことなんて無いんだからぁ…。」 女子A「え…!?じゃあどうやって…」 水銀燈「…いい?男にとって、『それ』は最終目的なんだから、それを安売りしてどうするのよ?その過程までに、取れるもの全てを取って捨てるのが正しいやり方よぉ…」 そう言うと、水銀燈は『正しい搾取』のやり方について、説明し始めた。 水銀燈「…大体、最初からそれを切り出してくる男は、ろくなもんじゃないわぁ…。そういうのは、無視していいの。じゃないと、後で後悔するわよぉ?あなたは、自分で自分の身を守ることなんて出来ないでしょう?」 女子A「はい…。」 水銀燈「だったら、この世界から身を引いたほうがいいわねぇ…。さっきも言ったように、欲しいものを手に入れる方法なんて、いくらでもあるの。例えば…」 そう言いながら、水銀燈は蒼星石の方に振り返り、こういった。 水銀燈「例えば、蒼星石にパソコンや世界情勢のこと相談して株でお金増やして買うのもいいし、私に『バック貸して』とか相談に来るのもいい…。でも、あなたはその中で最悪の選択をしたの。分かる?」 女子A「はい…なんとなく…」 水銀燈「そう…なら、次からはちゃんと相談しなさぁい。悪いようにはしないから…」 頭を撫でながらそう言う水銀燈に、女子生徒は恐る恐るこんな質問をした。 女子A「…あの、親とか学校には…」 水銀燈「言ったら、面倒くさいことになるでしょう?余計な心配してないで、早く家に帰りなさぁい。」 その言葉に、ぺこりとお辞儀をしてその場を立ち去る女子生徒に、水銀燈はこう付け加えた。 水銀燈「…それと、どうせこれが初めてじゃないんでしょうから、念のため明日検査に行くわよぉ。いいわね?」 それを了承すると、女子生徒は何度もお礼を言いながら、駅へと向かっていった。 全てが終わった後、蒼星石は少し落ち込んだ様子でこう言った。 蒼星石「凄いね…僕なんて、何も出来なかったのに…」 水銀燈はそれを鼻で笑い、こう答えた。 水銀燈「まあ、あなたみたいな良い子ちゃんには難しい問題だったかもねぇ。世の中には、私みたいな人間のほうが強い場面もあるのよぉ?でも、その逆もある…つまり、特性を生かさないとダメって事ねぇ…。」 蒼星石「…特性?」 水銀燈「そう…。だけど、それを欲張って全部一人でやるなんて到底無理よ。だからこそ、『仲間』ってのが大切なんじゃないのぉ?…ま、元々私たちが自分1人で出来ることなんてわずかしか無いんだから、これからも仲良くやっていきましょぉ…」 その言葉に、蒼星石は思わずハッとする。 『仲間』なんて言葉、昔の水銀燈なら絶対使わない言葉だった。 水銀燈と一緒に、学校で働くようになって3年余り…。もしかしたら、彼女自身の何か変わり始めているのかもしれない…。 そんなことを考える蒼星石に、水銀燈はこう付け加えた。 水銀燈「…あと、今日のは『貸し』よぉ…♪」 そう言うと、水銀燈は不気味な笑みを浮かべながら、その場を後にした。 その言葉の意味…それが一体何を意味するのか… 蒼星石は、一抹の不安を感じずにはいられなかった。 完 その数日後のお話 ←イマイチ 他の人が書いたやつ
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水銀燈「…よし、じゃあみんな集まってくれるぅ?」 その声に、プールで自由に練習をしていた水泳部の面々は、一斉に彼女の元へと集まった。 総勢40人…よくもまあ、ここまで揃ったものだと水銀燈は感心する。 これだけよい環境で始められたのも、全てメイメイのおかげ… その上、彼女は事務員という特権を生かし、かなり強引に部活動費の追加を承認させたらしい。 水銀燈「…これで失敗したら、本当に首でも吊らなきゃダメね…」 自嘲気味にそう呟くと、彼女は集まった部員たちに向かって、こう話を切り出した。 水銀燈「…一応、今日は一人一人の泳ぎ方を見せてもらったわけだけど、やっぱり気になる点がいくつかあるわねぇ…。ま、それに関しては、後で個人別にメモしたものをあげるから、明日以降はそれを意識して練習しなさぁい。」 その言葉に、部員たちは「はい!」と元気よく声をそろえる。 そんな部員たちの様子に、彼女は「…何か、調子狂うわねぇ…」と頬をポリポリと掻くと、あるものをファイルから取り出し、皆にこう言った。 水銀燈「…で、今日の所はこれで解散と言いたいところなんだけどぉ…。みんな、今からこれ書いてくれるぅ?濡らさないように気をつけてねぇ…。」 男子A「え…何ですか、これ…?」 水銀燈「何って、水着の発注書よぉ。どの程度早くなるかは知らないけど、一応例の鮫肌競泳水着…『ファーストスキンFS2』っていうらしいんだけど、それ…取り寄せてみるわぁ…。で、洗濯して乾かないといけないから、とりあえず1人3着ずつ注文しておくわよぉ。」 その声に、部員たちは一気に沸きあがる。 その水着に対する物珍しさもそうだが、先生も本気だということが分かり、部員たちにはそれが嬉しかったようだ。 一方、水銀燈はというと、そんな部員たちの姿を見ながら、冷めた様子でこんな事を考えていた。 「期待と絶望って…その落差が大きいほど、ダメージが大きいのよねぇ…」 そこには、どうしても人というものを信用できない、彼女の姿があった。 水銀燈「…で、Nは息継ぎの時に頭を上げすぎ…自分の斜め後ろを見上げるつもりで頭を回すことを意識するように…と…。ふぅ、やっと終わったわぁ…。メイメイ、そっちはどぉ…?」 部員たちと別れた後、水銀燈はメイメイのいる事務室を訪れ、それぞれの職務をこなしていた。 問いかけられたメイメイは、電話から耳を離し、こう答える。 メイメイ「ええ、量が量だけに1週間ほどかかるそうですが、何とか手配のほうは…。」 1週間か…。まあ、120枚も集めなくてはいけないのだから、仕方が無い。 それにしても…120枚だなんて、業者にしてみればとんだ臨時収入に…臨時収入…? その時、水銀燈の頭にある考えが閃いた。 水銀燈「…120枚…ということは、たった千円違うだけで12万も儲かるって事じゃなぁい…♪」 考えてみれば、臨時手当もなくこのような仕事を押し付けられたのだ。 それに業者の方だって、本当ならこの時期にこんな大金を得る機会はなかったはず…。 なら、それがそっくりそのまま私の元に転がり込んできたとしても、なんら不都合は無い…! 水銀燈「…メイメイ、担当者の名前…教えてくれるぅ?」 妖しげな笑いをまじえつつそう言う彼女を見て、メイメイは内心で安堵する。 良かった…ようやく、お姉様が本来の姿に戻ってきた…と。 やっぱり、お姉様にはしょぼくれた姿は似合わない…そんな事を考えながら、メイメイは彼女の問いに、うやうやしくこう答えた メイメイ「担当者は、『草笛みつ』という方です。何でも、金糸雀さんのお知り合いらしく、かなりの値引きをさせてもらったのですが…ただ…」 水銀燈「…ただ、なぁに?」 メイメイ「…何でも、お姉様に1度お会いしたいそうなんです…。『金糸雀から噂は聞いているのでどうしても会いたい』と…」 水銀燈「私に…?」 いきなりの指名を受け、水銀燈は困惑する。 自分に会いたいだなんて、物好きな女もいるものだ…。 昔の知り合いか何かだろうか…。 いずれにしても、メイメイの口調から、その女に何らかの魂胆があるのは間違いなさそうだが… 水銀燈「…いいわよぉ…。別に会うぐらいなら…」 こうして、水銀燈は相手の出かたを探りながら、草笛みつ…通称『みっちゃん』との『商談』に臨むのであった。 みっちゃん「どーもー初めましてぇー!結菱物産営業部第2課1係、そしてカナの友達の草笛みつでーっす♪」 一週間後、そう言って現れた彼女を前に、水銀燈は自分の考えの甘さを悟った。 色々なパターンを想定してきたが、まさかこんな人間が現れるとは思ってもいなかったのだ。 自分の手を握り、そしてブンブンと握手を繰り返す彼女に、流石の水銀燈も「…あ、そぅ…。」としか声が出ない。 同席したメイメイにいたっては、何かあったときにはすぐに動けるようにと、警戒心をむき出しにしている。 なるほど…あの時、メイメイが難色を示したわけだ…と水銀燈は一週間前のことを思い返す。 もしかして、この女には『そっち』の気があるのだろうか…。だとすれば、正直あまりかかわりたくは無いが… 水銀燈「…もう満足した?だったら、早く仕事の話をしましょ…。私には時間が無いの。」 うんざりした様子でそう語る水銀燈に、ようやく彼女も本来の仕事を開始した。 みっちゃん「…118、119、120…っと。…では、間違いなく120万円頂戴いたします。あと、こちらが領収書で…」 そう言って領収書を差し出す彼女の手を握ると、水銀燈はいつも他の男達にやっているように、上目遣いでこんな事を言い出した。 水銀燈「ねぇ…。その領収書のほかに、定価…つまり1枚2万5千円で買ったときの領収書もくれなぁい?」 正直、この方法がこの女に効くかどうかは分からない…。それに、効いた時のほうが厄介な気もするのだが… そんな考えをよそに、みつは慌てた様子でこう答えた。 みっちゃん「…え!?で、でもそれって違法行為であって…」 その言葉に、水銀燈は彼女の口にそっと手を当てる。 …良かった。一応、常識はあるようだ。だが… 水銀燈「…私、いけない子なの…。でも、あなたなら私の気持ち…分かってくれるでしょう…?」 そう言うと、水銀燈は自身の財布を取り出し、その中から20万円程度を彼女の前に差し出すと、さらにこう言った。 水銀燈「…あげる。で、これを気に…これからもいい関係を築いていきたいと思わなぁい?」 そう言いながら彼女の後ろに回りこみ、そして耳元で何かを囁こうとしたその時、何者かが水銀燈の肩を叩き、こう声をかけた。 ?「…そんなに人にあげるお金があるのなら、『僕達』にもそれ…分けてくれるかな?」 その声に、水銀燈は全身の血の気が引いていくのを、はっきりと感じていた。 蒼星石「しばらく顔を出せなくてごめんね…。でも、本当にみんな見違えたね!今日届いた新しい水着も馴染んでいるみたいだし、この調子で3日後の練習試合も頑張ろうね!!」 この日、学校の屋内プールには、水銀燈の代わりに先任の蒼星石が水泳部の指導のためにやってきていた。 彼女の話によると、顧問である水銀燈は『急病』のため、保健室で療養中らしい。 「そういえば、凄い疲れた顔してたもんなぁ…」と、昼休み終了直前に彼女を見掛けた者は仲間にそう語った。 ちなみに、今回の彼女の損失額は、全部で120万円…。 つまり、部員たちの水着の代金は全て水銀燈が負担することになったというわけだ。 この事に関し、水銀燈とメイメイはしきりに抗議をしたが、蒼星石に「本来なら、これ以外に部活動反則金を取られてもおかしくない訳だし、それでも文句がある場合は、僕も事の真相をみんなに話すよ?」と言われてしまったため、泣く泣くそれに従うことになったのだった。 …ま、あそこでお金を選ばなかっただけでも、少しは成長したと言えるのかな…。 そんな事を考えながら、蒼星石は各部員たちに解散の指示を出そうとする。 その時、「私の代わりにやってきて…。今は1人になりたいの…」と水銀燈から指示を受けたメイメイが、皆を引き止め、こんな事を言い出した。 メイメイ「待ってください…!あの…今日皆さんが着ている水着の事なんですけど、実はそれ…水銀燈先生が自費で購入したものなんです…。だから…大切に使ってください…。そうすれば、少しは先生も報われると思いますので…」 おずおずと彼女が語った言葉…それは部員たちに思わぬ効用をもたらした。 メイメイとしては、別にその言葉以上に何かを狙ったわけではなかったのだが、部員たちは皆、控え室に戻るのをやめ自主的に練習を再開し始めたのだ。 それはメイメイにとって、全く理解の出来無い行動であった。 メイメイ「…え?どうして…?みんな疲れているのだから、今日はゆっくり休んで明日に備えたほうが、効率がいいのに…」 その言葉に、蒼星石はメイメイの肩に手を置き、こう声をかけた。 蒼星石「そんなこと言っちゃダメだよ…。みんな、君たちの気持ちに応えようと必死なんだから…」 その言葉に、メイメイは思わずはっとする。 そして、何か目頭が熱くなるのを感じながら、メイメイはみんなの姿を見ながらこう呟いた。 メイメイ「…ありがとう。みんな…」 誰にも聞こえないような…しかし、はっきりとした口調で…。 こうして、有栖学園水泳部はこの熱気を保ったまま、3日後の練習試合を向かえることになるのであった。 完